(要約)
2050 年カーボンニュートラル達成,脱炭素社会の実現に向け,日本政府をはじめ,各業界がさまざまな取り組みをおこなっている。第 6 次エネルギー基本計画において,当社製品の主要な販売先である産業部門,民生事業部門は徹底した省エネルギー化に加え脱炭素化された電力による電化,水素・合成メタン・合成燃料の利用への取り組みが求められている。当社が製造販売する汎用ボイラーは,主に化石燃料を燃焼して熱を供給する装置であるため,燃焼による CO2 排出量を実質ゼロにしなければ,カーボンニュートラルに貢献することはできない。本稿では,汎用ボイラーを取り巻く業界の動向と,当社の脱炭素化技術について紹介する。
(要約)
2050 年のカーボンニュートラルの実現に向けて,焼却排ガスなどの CO2 排出源から CO2 を分離回収し,貯蔵・固定化することが必要不可欠であると言われている。当社では CO2 分離回収技術の 1 つである化学吸収法の開発に取り組んでおり,その一環として 2021 年に採択された国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構 (NEDO) の委託調査事業において各種検討をおこなった。本稿では,省エネルギー型 CO2 分離回収プロセスを既存のバイオマス発電施設へレトロフィットすることを想定したフィージビリティスタディの成果,および回収した CO2 の利用要件の調査結果について報告する。
(要約)
一般廃棄物のメタン発酵は,施設のさらなる安定稼働とエネルギー回収量の増大,ひいては施設運営に関わる経済面への貢献や,温室効果ガス削減への貢献も期待されている。 本研究では,バイオガス発生量の増量とメタン濃度の向上を同時に達成可能な,メタン発酵への油類添加時の混合発酵効果と特性について一般廃棄物を模擬して実験的に検討した。植物性油および動物性油を対象とし,植物性油であれば油脂比率 70% まで,動物性油であれば油脂比率 33% までの範囲内であれば問題なく混合発酵ができ,またバイオガスの増量とメタン濃度の向上が可能であることが確認できた。さらに油脂比率が高い条件では発酵液中のアンモニア濃度が低下し,排水処理費用の低減効果も期待できることが明らかとなった。したがって,一般廃棄物への油類添加によるメタン発酵は,バイオガス生成量増加やバイオガス濃度向上を同時に達成できる手法への発展が期待される。
(要約)
当社は AI・ICT 等のデジタル技術を活用した施設・プラントの省力化・自動化の技術開発を進めている。その取り組みの一つとして,プラント設備の状態を画像として取得し,AI,画像処理を用いて分類・数値化して活用している。プラントの運転員が普段見ているものや,注目している情報を数値として認識し,画像を一つのセンサデータとして,例えば閾値を設けて警報を出力することで,運転員に気づきを与えるなどに利用する。本報告では,バイオマス発電所における燃料供給フィーダホッパの覗き窓の画像から燃料状態の数値情報を取得し,ブリッジ状態を検出するシステムを開発したので,その結果を報告する。
(要約)
当社では,ごみクレーン自動化機能を高度化し,ごみピットのごみを従来の自動撹拌制御以上に均質化することを目的とした開発を進めている。これまで運転員の目視の感覚 (色味のばらつき) をごみ混合度として数値化してごみクレーン自動制御に反映するシステムの開発について,タクマ技報 Vol. 28,Vol. 31 にて報告した。一方,ごみ内部の情報を含めたピット各番地のごみの性状を知ることでより高度なごみピット管理をおこなえる可能性があることから,ごみの搬入から焼却炉への投入までの情報を一括管理する,新たなシステムの開発を岡山大学と共同でおこなっている。本システムは,ごみピットの 3 次元モデル化によりごみピットの情報を管理してごみや水分の挙動を再現することで,各番地のごみ性状を推定するものである。本稿では,システムの基本となるモデルの説明および現在の開発状況を報告する。
(要約)
2023 年 6 月,リージョナルパワー株式会社殿向けに中国木材バイオマス発電所 (日向第 2) の発電設備を納入した。本発電所は燃焼方式として循環流動層式を採用しており,当社の国内向けとして 4 施設目となる。また,FIT 制度を活用した木質バイオマス燃料の循環流動層ボイラーとしては初の施設である。本稿では中国木材バイオマス発電所 (日向第 2) の設備概要を紹介するとともに,運転結果について報告する。
(要約)
河北郡市広域事務組合殿より受注し,2023 年 3 月に竣工した河北郡市クリーンセンターでは,ごみの焼却と下水汚泥の集約処理による合理化がおこなわれており,焼却時に発生する蒸気の一部を利用し,4 か所の下水処理場から発生する下水汚泥を蒸気間接加熱型の下水汚泥乾燥機で乾燥させている。乾燥した汚泥はごみとともに混焼して,発電の熱源に利用している。本稿では下水汚泥乾燥機の紹介と運転状況について報告する。