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タクマ技報 VOL.7 NO.2(1999年12月発行)

表紙写真:三菱製紙株式会社
八戸工場殿に納入した焼却炉
タクマ技報 VOL.7 NO.2(1999年12月発行)

巻頭論説

電気アーク陽極境界層の物理 -テーマ設定の顛末-

解説

生ごみからのバイオガス回収
益田 光信
(新エネ環境本部 EE推進部)

(要約)

生ごみからバイオガスを回収する技術は近年ヨーロッパにおいて盛んになっている。日本においても資源循環型社会の形成の中で、焼却するには水分の多すぎる厨芥等の有機性ごみについては、バイオガス化を行ってエネルギーの回収を行い、さらには残渣をコンポストにしてリサイクルしてゆくという方法の研究が始まった。

厨芥等の有機性ごみは水分が多いといっても、従来の嫌気発酵の懸念からすると濃度が濃すぎる。そのための困難な点もあるが、原料あたりのバイオガスの収量が大きいため、運転に必要なすべてのエネルギーをまかなった上でさらに余剰のバイオガスを得ることができる。このバイオガスは、塩素を含まずメタンと炭酸ガスから構成され、高効率の発電に利用できるため、最終の余剰エネルギー量は焼却以上にもなる。このため、分別ごみに対して焼却とバイオガス化を併設することで系全体の熱効率を最高に高めることが可能となる。

報告

東京都新江東清掃工場殿の飛灰処理「排ガス中和設備」について
片岡 利泰
(水処理技術第2部)

(要約)

清掃工場の集塵設備で捕集された飛灰(ばいじん)は1992年7月の廃掃法の改正で特別管理一般廃棄物に指定され、法定の4方式のいずれかで中間処理しなければ最終処分(埋め立て)ができなくなった。しかし、4方式のどの方式を採用しても現在の清掃工場において、メンテナンス頻度が高く、安定運転が難しい設備の1つである。

近年の排出ガス規制の強化により、燃焼排ガス中のHCl等酸性成分を消石灰噴霧により乾式処理する清掃工場は、その噴霧量が増大することにより飛灰量が増えている。また、その飛灰は反応に供しなかった未反応消石灰がアルカリ度を上げるため、重金属、特に両性金属である鉛について処理が困難になっている。

昨年9月末に竣工した東京都新江東清掃工場殿は、飛灰の中間処理に「排ガス中和法」を採用している。この方式は、飛灰をスラリー状にして、燃焼排ガスを吹き込み重金属を炭酸化合物にすることにより中間処理を行うので、ランニングコストにメリットがあるが、飛灰中のカルシウム性分がスケールとなって設備の運転継続に支障を来たす可能性が大きかった。

その他の項目も含めて、設計当初に特に着目した重点項目は、「カルシウムに起因するスケールの付着対策」、「各槽内、配管内での飛灰の沈降対策」、「塩濃度が高いことによる腐食対策」、「設備停止時の水素ガス対策」であった。

運転については、試運転時から現在に至るまでおおむね順調に稼働しており、また、処理飛灰の溶出試験結果においても良好な結果を得ている。

本稿では設計時の対策と、試運転から引き渡し後の運転状況およびその結果について報告する。

清掃工場の排水中のダイオキシン類実態調査
片岡 利泰
(水処理技術第2部)

(要約)

某清掃工場のご協力により、工場から排出される排水中のダイオキシン類濃度を定期的に測定する機会を得た。

分析の結果、排水処理水中のダイオキシン類濃度は、清掃工場で現在の最も一般的な物理化学的処理法である、凝集沈殿+砂ろ過法でpgオーダー以下となっている。

ダイオキシン類は疎水性であり、清掃工場の排水中では、そのほぼ全量が排水中に懸濁粒子に吸着されて存在していると考えられている。排水中のダイオキシン対策は、この懸濁粒子を除去できる現在のシステムで、十分に対応できていると考えられる。凝集沈殿と砂ろ過器の運転管理を正しく行い、排出水のSS濃度を低く抑えることが重要である。

今回の分析により、処理水中のダイオキシン類濃度を低レベルに保って処理が行われていることを確認した。この結果を報告する。

新型ストーカの開発(基礎実験から実証まで)
篠原 武・和田 哲昌・西垣 正秀
(装置設計部)

(要約)

ダイオキシン類の主たる排出源がごみ焼却プラントであり、その発生抑制技術のうち、適正燃焼を可能とする新型ストーカの開発が必要とされ、弊社は1995年にSN型ストーカの開発を開始した。

試作機による動作確認およびごみ搬送能力調査、シミュレーションおよび小型電気炉による通風加熱実験、小型パイロットプラントによるRDF焼却実験等の基礎実験を行い、種々の設計変更を行った。そして1998年に某市清掃工場2号炉のストーカ部分をSN型ストーカ実証機に入れ替え、実際の都市ごみの焼却を通して総合的な性能確認を行い、所期の目標を達成していることを確認した。その後1年間の追跡調査を実施したが、大きなトラブルもなく順調に稼働を続けている。

プラズマ溶融実証設備の運転結果
加藤 考太郎*・麻生 知宣*・蔵内 良仁*・柴田 清*・熊崎 博志*・鮫島 良二*・松田 吉司**
(*技術開発部、**電気計装部)

(要約)

1992年にごみ焼却残さの溶融を目的としてプラズマ溶融炉の開発に着手し、実験炉により焼却残さ溶融の基礎データを収集してきた。引き続き1998年に最大処理量25t/日の実証設備を建設し、1999年10月までに延べ174日、最大40日間の連続運転を行った。その結果、処理灰中のダイオキシン類は溶融することにより99%以上低減し、得られたスラグから重金属類の溶出は認められなかった。また、運転の省力化と安全性の向上を目的とした周辺機器の自動化も確認でき、安定連続運転を実証することができた。

下水汚泥循環流動層炉の開発
藤原 祐治*・平尾 知彦**・井藤 宗親**・野上 晴男**
(*プラント建設統轄本部水処理技術第二部、**技術開発本部技術開発部)

(要約)

循環流動層は温度が均一で、燃焼効率も高いという利点を持つ。今回循環流動層の下水汚泥焼却への適応性を調査するため汚泥専焼、しさ混焼の燃焼実験を実施した。

3種の汚泥焼却および3種のしさとの混合焼却において、約1.3の低空気比の下で炉出口における排ガス中COは20ppm以下、NOxは30~60ppm程度といずれも良好な結果が得られ、また炉出口におけるダイオキシン類は0.000ng~TEQ/Nm3と極めて低濃度であった。

その他に、流動ブロワ動力および補助燃料という点においても従来の汚泥バブリング流動層炉に対し、循環流動層炉の優位性を確認することができた。

熱分解ガス化溶融システム
鮎川 大祐*・田口 彰*・川井 美久*・伊藤 彰啓*・叶 雅由*・高橋 賢次**・元田 義人**
(*技術開発部、**環境計画1部)

(要約)

1995年にシーメンス社より間接加熱式(キルン式)の熱分解ガス化溶融技術を導入し、1998年に指針外施設認定のための技術評価書取得と間接加熱式熱分解ガス化溶融技術の実証を目的として、実証設備を福岡市クリーンパーク・東部内に建設した。またカーシュレッダーダスト処理を対象とした熱分解ガス化溶融発電プラントを1997年に株式会社カネムラ殿から受注、1998年より運転開始し、現在営業運転を行っている。実証設備運転を通して以下のことが実証された。①幅広いごみ質に対応して安定運転ができた。②熱分解はごみ質変動の影響を受けず安定している。③低空気比(1.2から1.3)燃焼ができる。④ダイオキシンは炉出口で0.06ng-TEQ/Nm3、排気塔出口で0.002ng-TEQ/Nm3。⑤回収された金属の純度は90%以上。

製紙スラッジ焼却用流動層炉の納入実績
井川 清光
(エネルギープラント本部 技術部 第二課)

(要約)

製紙廃棄物も他の産業廃棄物と同様に単純焼却ではなくサーマルリサイクルしていくことが資源化の一端として必要であるが、単に製紙廃棄物といってもその排出形態により種類や性状が異なる。プラントを計画するにあたっては、その対象物の性状や用途に最適なシステムを構築する必要がある。

この度、弊社では製紙廃棄物を燃焼対象とした気泡型流動層プラントを、ほぼ同時期に静岡県と青森県に納入した。この二件のプラントは、製紙廃棄物を対象とした気泡型流動層によるサーマルリサイクルプラントという点では共通しているが、対象物の種類、性状などによる違いから設計コンセプトが異なり、当社の気泡型流動層焼却炉の中で対照的なプラントとなっている。

このうち多種類の製紙廃棄物を処理対象とする静岡県に納入した事例の紹介は次回に委ね、本稿では製紙スラッジのみを処理対象とする青森県に納入した事例を紹介する。

溶融飛灰からの金属回収(第2報)
三嶋 弘次・藤川 宗治
(中央研究所 研究開発部)

(要約)

前報では基礎テスト結果を中心に報告した。今回は、パイロット装置の運転結果を基に物質収支、ダイオキシンの挙動、運転経費の試算を実施したのでその結果を報告する。溶融飛灰1tから、57.7kg(乾物基準)の鉛産物(純度 :81.7%)と、鉛以外の金属産物493.5kg(乾物基準、亜鉛純度 : 20.1%)が回収できた。また、溶融飛灰に含まれるダイオキシンの大部分は、溶解残渣中に残留する再溶融により分解無害化される。運転経費試算の結果、排ガスからの回収塩酸を利用することにより溶融飛灰1tあたりの運転経費は自治体が外部委託処理している費用と比較して同等もしくはそれ以下となった。

活性炭繊維フィルタの有機物吸着特性
井上 智代*・水野 直哉*・小倉 哲*・花山 勇一郎**・入江 直樹**・服部 進司**
(*分析センター、**クリーンシステム部)

(要約)

半導体デバイス製造工場の工業用クリーンルームにおいて、空気中の有機物汚染の制御は重要な課題である。空気中の低濃度有機物の浄化には通常活性炭が用いられるが、低沸点から高沸点にわたって多岐に存在するすべての有機物を除去対象と考えると、多量の活性炭を要するという問題がある。最近の研究で半導体工場用のクリーンルームにおいて浄化対象有機物が絞られてきたこと、さらに活性炭への吸着挙動は各種有機物ごとで違うことに注目し、われわれは活性炭繊維フィルタによる各種有機物の除去挙動を調べ、より合理的なフィルタ寿命の考え方を提案すべく各種テストを行った。まず実験室レベルでトルエンとDBPを用いた実験を行い、低沸点物質と高沸点物質の除去効率を調べた。その後、実際のクリーンルームにフィルタを設置し、活性炭繊維上の吸着物を分析した。その結果、低沸点物質が破過しても高沸点物質の除去性能は維持されていることがわかった。

東京都新江東清掃工場の運転実績
唐津 良憲*・藤本 正之*・大橋 一宏**
(*プラント建設統轄本部 プラント設計部 第1課、**プラント建設統轄本部 電気計装部 第2課)

(要約)

新江東清掃工場は、1974年3月に東京都殿へ納入した江東清掃工場の老朽化が進み、またごみカロリーの上昇にともなう処理能力の低下等も生じているため、施設能力の回復を図るべく、1998年9月末隣接敷地に立て替えられた。

本工場は工場施設規模1,800t/日、また1炉あたりの焼却能力も600t/24と国内最大の都市ごみ焼却工場であり、ごみ専焼では国内最大の定格50,000kWのタービン発電機を設置し、また東京辰巳国際水泳場など周辺施設へ約80GJ/h(19Gcal/h,将来予定分含む)の熱供給設備も設けるなどごみエネルギーの有効活用を図った施設としている。

今回本工場の計画設計に際しての留意事項も含め、運転実績を紹介する。

皇后崎工場スーパーごみ発電システムと制御
大西 正三郎*・早田 芳浩**・下田 清廣***
(*プラント設計部、**環境計画第1部、***電気計装部)

(要約)

北九州市皇后崎工場の「スーパーごみ発電」はガスタービンの排気熱を利用して、廃熱ボイラで発生した蒸気を高温化し、蒸気タービンの出力アップを図るコンバインドシステムである。蒸気タービンの排気復水器には工業用水による循環水冷却方式を採用し、排気圧を下げ、熱落差を大きくとることによって発電効率を高めている。

本報告では、皇后崎工場におけるスーパーごみ発電システムの概要を紹介し、その制御方法について述べる。

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