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タクマ技報 VOL.15NO.2(2007年12月発行)

表紙写真:札幌市東部スラッジセンター
タクマ技報 VOL.15NO.2(2007年12月発行)

巻頭論説

再生可能性の追求と健全な生命系の維持

特別寄稿

絵でみるごみ処理の歴史(1)-ドイツを中心として-

解説

ごみ焼却発電の動向と展望
鮎川 大祐*
(*環境技術第1部)

(要約)

地球温暖化対策として新エネルギー利用があげられ、廃棄物発電が期待されている。本稿ではごみ発電の推移と発電効率向上策を取り上げ、2000年度からの発電量、発電施設の推移、蒸気条件の変遷を紹介し、過熱蒸気条件、低空気比、排ガス温度低減、タービン抽気利用等の向上策によって、どの程度の発電効率の向上が期待できるかを試算した。また、発電効率に影響する公害防止基準値についても検討を行った。さらに、これからの技術としてバイオガス化+焼却、発電量増強としての水噴炉の発電化についてもふれた。次に、ごみ焼却をWTE(Waste to Energy)ととらえている欧州の状況について紹介し、国内のごみ処理と比較した。欧州では送電効率で22~26%まで達成することが要求されており、国内ごみ発電も発電効率向上策と公害防止基準値などの条件がそろえば欧州なみに近づけることは可能である。

報告

ごみ焼却施設の建替えによるダイオキシン類排出削減効果と周辺環境の調査(第2報)
芝川 重博*・増田 孝弘**・藤田 泰行**・松本 暁洋***
(*レークサイドプロジェクト、**環境技術第1部、***技術開発部)

(要約)

約20年前に建設された間欠運転式ごみ焼却施設に隣接して「新ガイドライン」に準拠した連続運転式焼却施設が新設された機会に、新旧各施設の運転にともなうダイオキシン類の排出量や施設周辺の環境中のダイオキシン類濃度を測定し、環境負荷の低減効果を把握した。煙突からのダイオキシン類排出量の低減と、それに伴う周辺大気の最大環境濃度の大幅な低減に対応して、松葉中濃度も経年的に減少した。ダイオキシン類の排出量データ等をもとにした大気拡散解析の結果、排出量が多い旧施設稼動時に予測値が実測値とオーダーが一致した。新施設稼動後の予測値は実測値より数オーダー低く、本調査の設定条件の範囲においては施設の周辺環境への影響がほとんど予測されないことが示唆された。

バイオマスのガス化プロセスにおいて発生するタールの触媒分解技術の開発(第2報)
佐藤 和宏*・藤本 薫**
(*環境・エネルギー研究所、**北九州市立大学 国際環境工学部 教授)

(要約)

バイオマスの流動床ガス化プロセスにおいて発生するタールの処理として、触媒による改質法を検討した。Ni系触媒の担体や助触媒成分の効果によるコーキングや、硫黄被毒などに対する耐久性の向上を試みた結果、MgO・CaO担体において高い耐コーキング性と熱的安定性が示され、また、WO3成分の添加によって高い耐硫黄性が示された。これにより、市販の触媒に比べて安定したタール改質が可能になるとともに、従来は触媒を用いることができなかった、ガス中に硫黄成分が存在するようなガス化プロセスにおいても、高いタール改質特性を示すことが確認された。

オンラインシミュレーションによるごみ焼却プラントの運転監視・制御システム
松田 吉司*・劉 大偉**
(*電気計装部、**技術開発部)

(要約)

ごみ焼却炉において、炉形状や二次燃焼空気の吹込位置の最適化を行う際に、熱流体シミュレーションを用いている。

一方、実際のごみ焼却炉の操業では、ボイラ蒸発量が一定、すなわち焼却炉内の燃焼熱量が一定となるように、ごみ送り量や一次燃焼空気量を制御しているために、ごみ質に応じた理想的な燃焼状態とはなっていない可能性があり、ボイラ蒸発量が安定していても、燃え切り点位置や燃焼空気量は制御により変動し、COピークやNOxの増加といったことが起こる。

これらを解決するために、今までのシミュレーション技術を炉の設計だけでなく、焼却炉のプロセスデータから炉内燃焼状態を短時間で解析して、理想状態と比較することで、適正値に近づけるような焼却炉の運転監視および適正運転制御に応用するシステムの構築を目的として、プロセスシミュレータと炉内燃焼解析システムおよび炉内スキャニング装置を構築した。

本システムの解析結果は、ごみ焼却プラントの運転監視・制御に十分使用できるものであった。

藤沢市北部環境事業所 プラント運転報告(PFIへの取組)
佐藤 大治*・大元 祐二*・別枝 宏平*
(*環境技術第2部)

(要約)

藤沢市向け「藤沢市北部環境事業所1号炉」は、当社が自治体向け高度燃焼技術(マスバーンルネッサンス)を採用したプラントとして2件目の施設であり、当社初のPFIに準じた運営事業プラントでもある。2006年10月からの試運転を経て2007年3月31日に引渡しを完了、2007年4月1日より事業運営を開始し、現在にいたるまで良好な運転を継続している。本施設は安定的にかつ経済的に20年間の事業運営を行う目的で建設されたものである。

製紙系産業廃棄物焼却発電プラント
日向 宏明*・尾崎 広明**
(*エネルギー技術第2部、
**エネルギー技術第1部)

(要約)

ダンボール古紙等をリサイクルする製紙工場において、排出される廃棄物は水分が多く含まれ処理が困難であるが、従来より製紙系産業廃棄物として、焼却して熱利用されている。

製紙系産業廃棄物をバイオマス燃料として有効に活用すれば、製紙工場内で使用する化石燃料使用量を削減することが可能となり、地球温暖化ガス排出の抑制ができる。

レンゴー(株)八潮工場殿に、製紙系産業廃棄物を焼却し、そのエネルギーを蒸気および電気として回収する最新の高度燃焼技術を採用したストーカ式焼却発電プラントを納入した。

本書では、プラントの施設概要および試運転結果について報告する。

焼酎粕のアルカリ水素メタン発酵実証試験の運転報告(第2報)
和田 克士*・河野 孝志*
(*技術開発部)

(要約)

「焼酎粕のアルカリ水素メタン発酵によるエネルギー回収技術に関する実証試験事業」において、芋焼酎粕および麦焼酎粕を用いた運転を行い、エネルギー回収の確認を行った。

定格運転時には、投入CODcr 1tonあたり芋焼酎粕では0.75m3-H2、258m3-CH4のガスが得られ、麦焼酎粕では1.75m3-H2、238m3-CH4のガスが得られた。また、それぞれのCODcr分解率は72%、68%であった。発酵部分でのエネルギー回収率として芋焼酎粕で71%、麦焼酎粕で74%が得られた。

高温乾式メタン発酵におけるバイオ基質の発酵特性評価
洪 鋒*・宍田 健一*・入江 直樹*・吉井 隆裕**
(*水処理技術部、**技術開発部)

(要約)

高温乾式メタン発酵において、紙類ごみと廃グリセリンのバイオマスガス生成能、発酵原料中の蛋白質からアンモニア性窒素の生成特性を把握するために、実験室規模の回分式および連続式実験を行った。紙類ごみのメタン発酵特性は種類によって異なり、バイオマスガスの生成能は371~637m3N/ton-原料であった。廃グリセリンのバイオマスガス生成能は1,080m3N/ton-原料であり、発酵原料からのメタンガス転換率は90.9%であった。発酵原料のCODcr/TNは、蛋白質からのアンモニア性窒素発生割合に影響を及ぼしており、高いほどアンモニア性窒素の発生割合が減少する傾向が認められた。

乾式メタン発酵法に適したごみ選別システムの開発
入江 直樹*・岩崎 大介*・久堀 泰佑*
(*水処理技術部)

(要約)

廃棄物処理において、水分の多い生ごみなど有機性廃棄物についてはメタン発酵し、水分の少ないプラスチック等は焼却する手法が、系全体のエネルギー効率を上げる方法として推奨される。こうした背景から、メタン発酵に適した物質を回収し、発酵不適物を除去することができる簡易なごみ選別システムの開発を行った。

簡易な機械選別機による一般ごみの選別実験を行った結果、最適なスクリーン径を選択することで、メタン発酵に適する生ごみを98%以上回収でき、発酵不適物であるプラスチック類等の異物をごみ全体あたりの20%以下まで除去できることが確認できた。

また、機械選別により回収した選別ごみをメタン発酵した結果、選別ごみ1tonあたり167m3(メタン濃度56%)のガス発生量を確認できた。

以上の結果より、乾式メタン発酵に適する原料を効率的に回収できるごみ選別システムを確立できた。

木質系バイオマスからのメタノール製造技術(第2報)
藤川 宗治*・山崎 裕貴*・原田 等*・佐藤 和宏*・坂上 正美*
(*環境・エネルギー研究所)

(要約)

バイオマスのガス化により得られるガスからのメタノール製造技術の開発を進めている。バイオマスを原料とする小規模・分散型システムを構築するために、新たに従来よりも高効率なメタノール合成反応器を開発した。ベンチスケールでのメタノール製造試験の結果、反応器内での局所冷却によるメタノール凝縮・引き抜きの効果によりメタノール収率が向上することを確認した。

また、廃材、剪定枝などの木質系バイオマスを原料とするガス化メタノール製造試験を実施した結果、いずれも安定した運転が可能であることを確認した。メタノール合成に適したガス化条件の最適化検討のため、空燃比(λ)0.40~0.45、スチーム・カーボン比(S/C)0.55~1.15の条件で試験を実施したところ、S/Cを高めると生成ガスのH2/COは高まるが、CO濃度が低下するためワンパスでのメタノール収量としてはあまり変化がなく、加えてS/Cを高めるとガス化炉温度維持のためにλを高める必要があることを考慮すると、本システムにおけるS/Cは0.5~0.7程度が現実的な条件といえる。

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