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タクマ技報 VOL.30NO.2(2022年12月発行)

表紙写真:町田市バイオエネルギーセンター
タクマ技報 VOL.30NO.2(2022年12月発行)

寄稿

タクマ技報発刊 30 年に寄せて

巻頭論説

カーボンニュートラル社会を支える水素利用

解説

タクマの事業領域における温室効果ガス削減の動向と研究開発の取り組み
宍田 健一*
(*技術センター)

(要約)

温室効果ガス削減の流れは,化石由来の原燃料の使用抑制や再生可能エネルギーの 利用促進を加速させ,各国でエネルギー・燃料の転換や工業原料・工業プロセスの変更などに よる産業構造の変化,およびこれらに付随する政策の転換を促している。当社がかかわる事業 領域もこの流れに大きく影響を受け,カーボンリサイクル技術の重要性が増大している。カー ボンリサイクル技術は,「分離回収」,「貯留」,「利用」をあわせて一般的に CCUS と呼ばれる が,これに水素などの CO2フリー原燃料への転換も含め,社外との連携を強化して研究開発 を進めていくことが重要である。現在当社では CO2分離回収法,CO2農業利用技術,CO2固体 炭素化技術などに関する研究開発を進めており,これらについて概説する。

東京都下水道局の温室効果ガス排出量削減対策の動向
水野 孝昭*
(*水処理技術部)

(要約)

東京都下水道局の事業活動から排出する温室効果ガスは,東京都の事務事業活動全 体の 35% (2020 年度実績) を占めている。東京都下水道局では,地球温暖化防止対策を計画 的に進めるための取り組みを示す「アースプラン」を 2004,2010,2017 年に策定し,現在ま で本プランに基づき徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの活用拡大を進めるとともに, 新しい焼却技術などの開発や最新技術を先導的に導入することで,地球温暖化対策に精力的に 取り組んでいる。
 本稿ではこうした取り組みについての紹介をおこなうとともに,当社が参画した省エネル ギー・創エネルギー技術に関する共同研究について解説する。

報告

Solution Lab を活用した都市ごみ焼却施設の遠隔監視・操作
工藤 隆行*・井藤 宗親*
(*環境技術1部)

(要約)

当社の遠隔監視・運転支援拠点 Solution Lab は,プラントの運転状況,稼働状況を 24 時間体制で監視し,またさまざまな運転・運営支援をおこない,安心・安全な施設運営の 実現に向けた各種ソリューションを提供することを目的としている。Solution Lab は,ごみ焼 却施設の中央制御室と同等のプラント監視機能があり,各種運転データや炉内燃焼画像をリア ルタイムで監視することができる。また 2021 年 4 月 1 日に法令の一部が改正され,蒸気ター ビンを備えたごみ焼却施設においても遠隔監視・操作が可能となった。これらを踏まえ,ごみ 焼却施設の施設運営における,より質の高いサービス提供に向けたソリューションの一つとし て,Solution Lab からの遠隔監視・操作の実現に向け取り組みを進めている。
 本報では法令改正の概要と,遠隔監視・操作を活用した運転員 2 名を模擬した実施設の運転 をおこない,安定操業できることを確認したので報告する。

2 段 BF による酸性ガス高効率除去システムの運転実績
木下 裕之*
(*環境技術1部)

(要約)

排ガス処理において,ろ過式集じん装置の上流に消石灰などのアルカリ薬剤を吹込 むことにより酸性ガス (HCl,SOx) を除去する乾式排ガス処理は長年にわたる実績のある技 術である。一方で,近年のごみ焼却施設では,環境負荷低減の機運の高まりとともに,より一 層厳しい排ガス規制値を満足することが求められている。本稿では,「町田市バイオエネル ギーセンター」において,乾式排ガス処理により煙突出口酸性ガス濃度を 10 ppm 以下まで除 去して運転できることを確認したので,その運転実績について報告する。

階段式ストーカ炉による下水汚泥焼却発電システムの温室効果ガス削減効果
岩崎 大介*・水野 孝昭*
(*水処理技術部)

(要約)

当社は階段式ストーカ炉と焼却廃熱による蒸気発電設備を組み合わせた,省エネ・ 創エネ型の下水汚泥焼却発電システムを,東京都下水道局多摩川上流水再生センターおよび札 幌市西部スラッジセンターに納入した。
 本システムは汚泥乾燥機,階段式ストーカ炉,廃熱ボイラー,蒸気発電機などを組み合わせ て導入することで,補助燃料を使用することなく,低消費電力と蒸気発電により大幅な使用電 力削減を実現できる。加えて,900℃以上の高温焼却が可能で,温室効果ガスである一酸化二 窒素 (N2O) の排出を大幅に削減できることから,省エネルギー・創エネルギー,ランニング コスト低減,温室効果ガス削減効果が得られる。試算の結果,従来の焼却システムである気泡 式流動炉 (発電なし) に対し,95% 以上の大幅な温室効果ガス削減が可能なことが示された。

燃焼ガス浄化設備によるバイオマス燃焼ガス中 CO2の有効利用
内山 慎也*・藤川 宗治**・谷口 哲也***
(*エネルギー技術2部・**研究部・***装置技術部)

(要約)

当社は,バイオマス発電設備の燃焼ガスを浄化し,農作物成長のための二酸化炭素 源として園芸施設へ供給する燃焼ガス浄化設備 (t-CarVe ティー・カーブ®) を,バイオマス 発電設備とともに,エフビットコミュニケーションズ株式会社殿に納入した。電気および熱を 供給するバイオマス発電設備と,二酸化炭素を供給する燃焼ガス浄化設備により,バイオマ ス・トリジェネレーションシステムを実現している。今回納入した燃焼ガス浄化設備は,二酸 化炭素を安定して供給しており,カーボンニュートラルな二酸化炭素を園芸施設で利用するこ とで,カーボンネガティブを達成し,二酸化炭素排出削減および有効利用の課題解決に貢献す る技術である。

町田市バイオエネルギーセンター 運転報告
渡辺 純*
(* 環境技術3部)

(要約)

当社グループは 2022 年 1 月より町田市バイオエネルギーセンターの運営を開始した。 本施設は熱回収施設と不燃・粗大ごみ処理施設,バイオガス化施設から構成され,熱回収施設 ではごみを焼却した際の廃熱を利用した蒸気タービン発電を,バイオガス化施設では生ごみの 発酵で発生したバイオガスを利用したバイオガス発電をおこなっている。本稿では熱回収施設 とバイオガス化施設の特徴およびその運転状況について報告する。

有明ひまわりセンター 運転報告
桝本 貴史*・廣角 次朗*
(*環境技術3部)

(要約)

当社が有明生活環境施設組合殿より受注したごみ処理施設「有明ひまわりセンター」 が 2022 年 2 月に竣工した。本施設の焼却規模は 92 t/日と小規模な施設であるが,ごみを焼却 した際の熱エネルギーを回収して,蒸気タービン発電機による発電で所内消費電力を賄い,余 剰電力は売電している。本稿では本施設の特徴および運転状況について報告する。

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