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タクマ技報 VOL.29NO.2(2021年12月発行)

表紙写真:太田市外三町広域清掃組合クリーンプラザ
タクマ技報 VOL.29NO.2(2021年12月発行)

巻頭論説

市町村におけるプラスチック処理のゆくえ―― 市民の主体性を育む情報提供が与える影響――

解説

ボイラー構造設計について
田口 彰*
(*技術センター)

(要約)

産業用ボイラーには用途や規模に応じてさまざまな形状があり,運転開始後は温度と圧力の上昇にともない変形する。また,運転開始後は水循環が始まり,水循環が良好でない場合には,さまざまな現象が発生する。さらに,ガス流れによってもさまざまな現象が発生する。
 本稿では,運転開始後に発生するさまざまな現象に対してボイラーの損傷を防止する基本的な構造設計留意事項について述べる。

脱炭素化技術の開発動向
佐藤 和宏*・髙橋 滋敏*・藤平 弘樹*・宍田 健一*
(*研究部)

(要約)

2050 年カーボンニュートラルの実現に向けて,脱炭素化の取り組みが全世界的に加速している。この目標を達成するには,従来の延長技術では極めて困難であり,CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage) をはじめとする大幅な技術革新が求められている。当社においても,主力事業である廃棄物焼却やバイオマス発電から排出されるCO2の分離回収や有効利用などCO2削減技術の開発に注力しているところである。
 本稿では,脱炭素化技術に関する国内の開発動向と,当社の事業における取り組み事例の一例を紹介する。

報告

圧力波式ダスト除去装置の開発および運転報告(第二報)
岩本 敬弘*・中西 英夫*
(*環境技術1 部)

(要約)

ボイラーダスト除去装置に関して,従来の蒸気式スートブロワの代替となる当社独自の圧力波式ダスト除去装置を開発した。既報では,本装置をごみ処理量110 ton/日・炉の都市ごみ焼却施設へ適用した実証試験の結果について報告した。本稿では,さらなる大型施設への適用を目的として,ごみ処理量250 ton/日・炉の都市ごみ焼却施設へ適用した実証試験の結果について報告する。

消石灰のオンサイト製造技術の開発(その3)
木下 亮*・西澤 秀幸*・加藤 考太郎*・藤田 泰行*
(*技術開発部)

(要約)

都市ごみ焼却施設の排ガスに含まれる酸性ガス(HCl, SOx) の除去に要する薬剤のコスト削減を目的として,オンサイトで生石灰(CaO) から消石灰(Ca(OH)2) を製造する技術を開発した。既報では,消化水に有機系薬剤を添加して消石灰を製造したことで,市販の高反応消石灰同等の酸性ガス除去性能が得られたことを述べた。本報では既報の消石灰の酸性ガス除去性能が向上した要因を調査し,その結果が得られたため,報告する。消化水に有機系薬剤を添加することで消石灰が微粒子化し,さらに消化水量を増やすことで微粒子が凝集した。微粒子間の隙間は細孔の形状を有し,さらに微小な細孔で構成される細孔容積が大きくなっており,このことが酸性ガス除去性能の向上に寄与している可能性が示された。安価な生石灰から高反応消石灰をオンサイトで製造して使用することにより,施設規模や地域によっては大きなコストメリットが得られる試算結果となった。

尿素分解装置を用いた無触媒脱硝システムの実機導入報告
杉田 大智*・工藤 隆行*
(*環境技術1 部)

(要約)

尿素分解装置は,安全・安価な尿素から尿素分解触媒を用いて,脱硝用還元剤としてのアンモニアガスを製造する装置である。今回,排ガス再循環技術と無触媒脱硝技術を組み合わせることで,排ガス処理に関わるエネルギーを削減し,高効率発電を実現した最新の都市ごみ焼却施設において,この尿素分解装置を導入し,6ヵ月以上の長期安定運転を確認した。本装置は,従来の尿素水噴霧方式と比べて,尿素水量の削減が可能であり,また発電効率の上昇を確認した。

エコクリーンセンター南越 運転報告
村上 宗一郎*
(*環境技術3 部)

(要約)

2021 年3 月にエコクリーンセンター南越が竣工した。本施設は,福井県越前市・南越前町・池田町の燃やせるごみを処理していた旧第1 清掃センターの老朽化にともない,ごみ処理機能の継続と同時に循環型社会の構築や温暖化防止に貢献すべく新たに整備された施設である。
 本施設では,「要求水準を遵守するための運転基準値の設定」および「高効率ごみ発電施設整備交付金要件を上回る高効率ごみ発電」をおこない,運営事業を継続している。本稿では,引渡性能試験の結果と施設の特徴である高効率ごみ発電に関する運転状況について報告する。

青木環境事業株式会社殿2 号炉(産業廃棄物焼却処理発電施設) 運転報告
河本 達志*
(*エネルギー技術2 部)

(要約)

地球温暖化対策として,日本では2021 年4 月に菅総理が,2030 年度の温室効果ガスの排出を2013 年度の水準より46% 削減を目指すと表明したこともあり,あらゆる分野でエネルギーの脱炭素化へ加速していく状況にある。廃棄物処理分野,特に産業廃棄物の焼却処理においても,本来の処理目的が「減量化」と「衛生処理」である中,今の時代はプラス「熱回収」,中でも「廃棄物発電」は脱炭素化への有効な貢献手段とされている。このような中,当社は新潟県で産業廃棄物処理業を営む青木環境事業株式会社殿へ,2 号炉目となる産業廃棄物焼却処理発電施設を納入した。2 号炉では1 号炉にはない廃熱ボイラーを設置して,より積極的に熱回収し,蒸気タービンによる発電により工場敷地内の電気をほぼすべて賄うプラントとした。本稿では,本プラントの概要および運転結果を報告する。

東京都下水道局多摩川上流水再生センターにおける下水汚泥焼却発電システムの運転報告
和田 浩幹*・宮川 透*・水野 孝昭*
(*水処理技術部)

(要約)

当社は,東京都下水道局の「高温省エネ型焼却炉」に適合するストーカ炉と焼却廃熱による蒸気発電設備を組み合わせた,省エネ・創エネ型の汚泥焼却システムを東京都下水道局多摩川上流水再生センターに納入した。本システムは汚泥乾燥機,ストーカ炉,廃熱ボイラー,蒸気発電機などを組み合わせて導入することで,補助燃料を使用することなく,低消費電力と蒸気発電により大幅な使用電力削減を実現でき,加えて900 ℃以上の高温焼却が可能で,温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O) の排出を大幅に削減できることから,省エネ・創エネ,ランニングコスト低減,温室効果ガス削減効果が得られる。本設備は2020 年12 月に引渡しを完了し,その後性能を満足した上で順調に稼動し現在に至っている。

太田市外三町広域清掃組合クリーンプラザ 運転報告
福里 豊*
(*環境技術3 部)

(要約)

2021 年3 月に太田市外三町広域清掃組合クリーンプラザが竣工した。本施設は,群馬県の太田市,千代田町,大泉町,邑楽町の一市三町の可燃ごみを広域処理するために建設された施設である。
 本施設は,「高効率ごみ発電の実現(発電効率26.2%)」および「当社の豊富な実績と最新の技術を組み合わせた安定稼働」という事業提案のもと,施設を建設し,運営事業を行っている。本稿では,施設の特長である高効率ごみ発電および最新技術の導入について引渡性能試験の結果を中心に報告する。

納入物件紹介

ユニフロサンドフィルタ 納入先:金沢水再生センター(処理水再利用機械設備工事)
   
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