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タクマ技報 VOL.14NO.2(2006年12月発行)

表紙写真:レンゴー株式会社
 武生工場殿向け
蓄熱燃焼(脱臭)装置と排ガス脱硫装置
タクマ技報 VOL.14NO.2(2006年12月発行)

巻頭論説

廃棄物・バイオマス処理プラント技術における温故知新-新技術における光と陰の検証-

解説

バイオマス熱利用技術の変遷と課題
熊田 雅行
(計画本部)

(要約)

わが国では、地球温暖化防止対策の一環としてバイオマスの利活用の重要性が確認され、「バイオマス・ニッポン総合戦略」により施策の充実や見直しが図られている。バイオマスのエネルギー転換技術には、直接燃焼、ガス化、熱分解、嫌気性(メタン)発酵、加水分解など様々あるが、「燃やして熱を利用する」ことは有史以前から用いられてきた。

バイオマスの直接燃焼技術は、人類社会の発展とともに進展し成熟した技術とも見られているが、近年では、高効率発電を目的にボイラの高温高圧化が求められる中で、塩素腐食の挙動の把握と防止対策、低融点灰の挙動とクリンカー防止対策、さらなる低公害燃焼技術の確立などが課題となっている。

当社はボイラの製造販売の歴史が長く、1950年代以来様々なバイオマスを利活用した数多くの熱利用および発電プラントの納入実績を有し、各種バイオマスの性質や燃焼に関する知識と技術を保有している。ここではバイオマス燃焼技術の発展の歴史を振り返るとともに各種バイオマスの燃焼技術と特徴を紹介する。

報告

超高性能ボイラの開発
林本 伸章*・小西 博規*・吉本 聡**・劉 大偉*
(*技術開発部、**管理部)

(要約)

あらゆる産業分野で重要な役割を果たすボイラには、省エネルギーや環境負荷の低減が今後とも強く要求される。このようなニーズに対応するため、当社では画期的な燃焼性能を有するボイラを開発した。

開発したボイラは、狭く長い燃焼室で排ガス自己再循環を行う構造で、高速噴射ノズル技術を応用した薄膜火炎を形成するバーナを組込むことで、低空気比燃焼での低NOx・低COを実現した。

本報告は、都市ガス13Aを燃料とする換算蒸発量2,000kg/h、伝熱面積10m2以下である小型ボイラ規格の試験装置で検証した結果である。

飛灰高温集じん技術の開発(その1)-装置の開発と性能確認-
麻生 知宣・鮫島 良二
(技術開発部)

(要約)

ごみ焼却炉排ガス中のダストを700~900℃の温度域で除去する高温集じん装置を京セラ(株)殿と共同で開発した。

開発した高温集じん装置のフィルタエレメントは1,200℃の耐熱性を持つコージェライト焼結品を採用し、支持管の外表面に集じん層を設けた2層構造とすることで、高いダスト捕集性能、低いろ過抵抗およびごみ焼却炉排ガスに対する高い耐食性を確認した。

装置はハウジングをボイラ水冷壁構造とし、フィルタエレメントの固定を水平・両端支持構造としてフィルタの縦積みを可能とすることで、設置面積の小さい集じん装置を実現した。

開発した装置の性能確認のため、パイロット規模の実証設備を建設し、模擬ごみ燃焼排ガスによるテストを実施した。通ガス温度800~900℃、入口ダスト濃度5g/m3Nの条件下、出口で冷却後のダスト濃度は0.01~0.09g/m3Nであり、ダスト成分中の揮発を考慮すると、充分なろ過性能が得られた。また、フィルタ差圧は3.6kPa(ろ過速度2m/min)で安定し、捕集灰のダイオキシン類濃度は0.001ng-TEQ/g以下であった。

半導体レーザ式塩化水素濃度計によるごみ焼却排ガスの塩化水素濃度の連続測定
引田 浩之*・宍田 健一**・鮫島 良二*
(*技術開発部、**水処理技術部)

(要約)

半導体レーザ式濃度計により、4箇所のごみ焼却施設において、従来は困難であった除じん前の排ガス中の塩化水素濃度を延べ293日間にわたって連続測定した。その結果、塩化水素濃度は施設によって異なり、濃度変動幅も短時間で比較的大きいことを確認した。また、1,000ppmを超えるようなピークがあったが、そのピークは3分程度と短時間であり、実測値は設計値に比べて低い濃度で推移していた。

プラズマ溶融炉の主電極先端位置による運転への影響調査
大上 雅晴*・蔵内 良仁**・加藤 考太郎**・柴田 清**
(*技術開発部、**装置技術部)

(要約)

プラズマ溶融炉に投入するエネルギーは電流と電圧の積である。同じ投入エネルギーでも電流と電圧を変えることによって、溶融炉の運転状況が変化する。実証炉と実機では炉寸法が異なるため、最適な電圧が異なることが考えられる。実機では実証炉の運転データをベースに炉内ガス温度などを指標として加味し、処理負荷に応じて電圧と電流を決定した。

今回、実機において電圧と電流を変更した運転を行い、運転特性を比較調査し、さらなる運転の最適化を図ることとした。調査の結果、プラズマアークが安定する範囲で電圧を高くしたほうが炉内温度が均一となって、安定した操業を継続でき、また電極原単位を30%低減することができた。

焼酎粕のアルカリ水素メタン発酵実証設備の概要および立ち上げ運転報告
和田 克士*・河野 孝志*・中井 亮*・宍田 健一**
(*技術開発部、**水処理技術部)

(要約)

焼酎粕のアルカリ水素メタン発酵実証設備は、NEDO技術開発機構との共同事業で、焼酎製造過程で発生する残渣の焼酎粕をアルカリ水素メタン発酵に供し、水素ガス、メタンガスを含むバイオガスを産生し、これを燃料とする蒸気ボイラで蒸気に変換後、焼酎製造工場へ蒸気を供給するエネルギーリサイクルシステムである。

メタン発酵の立ち上げには、種汚泥として下水消化汚泥および排水処理汚泥を用い、メタンガスの発生が認められた段階で焼酎粕の投入を開始した。立ち上げ運転時のバイオガス発生量は、芋焼酎粕の場合で約38m3/m3-焼酎粕、麦焼酎粕の場合で約60m3/m3-焼酎粕であり、ラボテストにおいて得られたデータと同等であった。

アナモックス微生物を利用した新規排水処理システムの開発
高木 啓太・篠田 高明
(環境・エネルギー研究所)

(要約)

新規の窒素除去技術として注目されているアナモックス微生物を利用した排水処理システムは、従来の硝化/脱窒システムと比較して、曝気動力および薬品(メタノール等)コストを大幅に削減でき、さらには処理速度の高速化による設備のコンパクト化が期待されている。本システムを合成排水試験および家畜(豚)ふん尿メタン発酵脱離液に適用し、前処理工程の亜硝酸化処理技術および脱窒工程のアナモックス処理技術を確立した。合成排水試験において、最大脱窒処理速度4.14kg/m3/dayが達成され、高濃度窒素(NH4-N)を含有するメタン発酵脱離液に対しては、最大脱窒処理速度1.65kg/m3/dayを達成した。これらの窒素除去率は80%以上である。このことから、本システムをメタン発酵施設の排水処理に適用した場合、設備規模を半分以下に低減できることが明らかになった。

海外視察

国際環境事情調査団の参加報告
「既存焼却工場の効率的な施設改善・延命化方策の検討調査」海外視察団に参加して

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二塔蓄熱式脱臭装置
東京二十三区清掃一部事務組合 新江東清掃工場 飛灰搬出設備
バグフィルタダスト払落し用高速噴射ノズル

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