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タクマ技報 VOL.16NO.1(2008年6月発行)

表紙写真:(株)市原ニューエナジー(産業廃棄物焼却施設)
タクマ技報 VOL.16NO.1(2008年6月発行)

巻頭論説

エネルギーの流れと循環

解説

焼却残さ処理技術の動向
鮫島 良二*
(*技術開発部)

(要約)

廃棄物の焼却に伴い発生する焼却残さは無害化とリサイクルによる最終処分量の減量・減容化が求められ、高温でスラグ化する溶融固化法が導入されるようになり、すでに国内の100近い施設で溶融炉が稼動している。溶融により、廃棄物焼却残さに含まれるダイオキシン類のほとんどが分解し、溶融後のスラグからは重金属類の溶出がなく無害なものであることが確認され、無害化と最終処分量の減量化に貢献している。一方、溶融に必要なエネルギーは大きく、エネルギーの節減と地球温暖化防止の観点から溶融より少ないエネルギーで焼却残さを無害化し有効利用する技術の研究や実用化が進められている。

報告

下水汚泥ガス化システムの開発(第3報)-3ヶ月連続運転成果報告-
斉賀 亮宏*・巽 圭司*・林 一毅*・武谷 亮**・羽田 貴英**
(*技術開発部、
**東京瓦斯株式会社 技術研究所)

(要約)

下水汚泥の保有エネルギーの有効利用かつ減容化処理が可能なシステムの構築を目指して、これまでガス化システムの開発を進めてきた。今回、2004年度に建設し、運転データを収集してきた汚泥ガス化発電実証試験設備[処理量15ton/日発電200kW]にて、連続運転性能を評価すべく連続ガス化運転を実施し、国内初となる運転日数90日、ガス化連続2,000時間を達成した。この期間、炭素転換率92%以上、冷ガス効率60~65%を維持した。タール分解・除去効率は約98%を維持し、タールに起因する問題は起きず、安定した運転が可能であった。ガスエンジンによる都市ガス混焼発電試験でも出力200kWにて、約38%の高い発電効率が得られた。この成果により、本ガス化システムは実用段階に達したことを実証できた。

アナモックス法による下水消化汚泥脱水分離液からの窒素除去
高木 啓太*・坂上 正美*・奥田 正彦**
(*環境・エネルギー研究所、
**技術開発部)

(要約)

閉鎖性水域における富栄養化防止の観点から、窒素、りんの除去を対象とした高度処理の必要性が急速に高まってきている。現在の窒素除去技術としては、生物学的処理法が多く実用化されているが、膨大な処理設備や処理コストの増大が課題とされている。近年、新たな生物学的窒素除去技術として、「アナモックス法」(Anaerobic Ammonium Oxidation;嫌気性アンモニア酸化)が注目されており、当社でも数年にわたり開発を行ってきた。著者らは下水道分野での実用化を目指し、高濃度の窒素(アンモニア)を含む下水消化汚泥脱水分離液へのアナモックス法の適用性を検証した。長期間の実証運転において、最適条件および運転方法を確立し、約80%の窒素除去率が確認された。また、従来技術の5倍以上の処理速度が確認され、処理コストの削減とともに、大幅な設備縮小が期待される。

(株)市原ニューエナジー運転報告
中川 英信*・大川 雅広*・阿部 順*
(*エネルギー技術第2部)

(要約)

マテリアルリサイクル出来ない廃プラスチック・木屑等の産業廃棄物を特殊階段式ストーカ炉で焼却処理し、テールエンド型ボイラで発生した蒸気を使用して発電する設備を(株)市原ニューエナジー殿に納入した。発電した電力は一部を場内利用し、残りの電力は売電する。発電以外の熱利用として、タービン排気からの熱回収で温水を作り、隣接する温室へ給湯する。また運転員の省力化を目的とした蒸発量制御を主とする燃焼制御を導入した。

ここでは、本プラントの施設概要及び試運転結果を報告する。

製糖用バガス焚ボイラの運転報告
向井 圭司*・中江 穣*
(*エネルギー技術第1部)

(要約)

製糖工場ではサトウキビをせん断し、糖分を搾り取った後の残り粕(バガス)をバイオマス燃料としてボイラにてエネルギーを蒸気として回収し、工場内に必要な熱源及び電力を賄い製糖を行っている。

Erawan Sugar Co., Ltd.殿(タイ国の北東部、県名 Nongbualamphu)に当社でも最大級のボイラを完成させた。

ここでは、本プラントの施設概要及び運転状況について報告する。

木質バイオマス燃焼ボイラ運転事例報告
向井 圭司*・日高 永昌*・片岡 憲治*・廣川 有司*
(*エネルギー技術第1部)

(要約)

地球温暖化が危惧される中、化石燃料に代わるエネルギーとして環境への負荷が少ないバイオマスが脚光を浴びている。中でも木質バイオマスは国内に広く存在し、大気中の二酸化炭素を増加させないカーボンニュートラルなエネルギーとして利用が活発になっている。

当社においても、近年、木質バイオマスの直接燃焼によるサーマルリサイクルプラントの納入実績が多くなっている。株式会社バイオパワー勝田殿納入以降も納入事例が増加し、2007年~2008年稼動の代表的なプラントの事例報告を行う。

水冷ストーカの開発
秋山 仁*・田口 彰*
(*装置技術部)

(要約)

発熱量の高い被燃焼物、低空気比高温燃焼に対応でき、かつ火格子の耐久性を高めることを目的として水冷ストーカの開発に取り組んできた。水冷火格子は鋳物内部に冷却水を通すパイプを埋め込んだ構造とし、これまでに電気炉での加熱テスト、小型ストーカ実験炉での燃焼テストを行い、水冷火格子の伝熱特性データを確認してきた。水冷火格子の耐久性を確認するために2007年3月に被燃焼物の計画発熱量が16.7MJ/kg(4,000kcal/kg)と高い産業廃棄物焼却炉に水冷ストーカを導入し、実証運転を開始した。水冷火格子を導入したのは従来の空冷火格子では1~2年程度で交換を要するような厳しい使用条件に曝される箇所である。水冷火格子とすることにより火格子温度を平均200℃以下とすることができ、安定した運転を行っている。また火格子の耐久性については現在も追跡調査中であるが良好な結果を得ている。

無触媒脱硝法における塩化アンモニウム生成・除去に関する研究
松本 暁洋*・美濃谷 広**・黄 仁姫**・松藤 敏彦**・松尾 孝之**
(*技術開発部、**北海道大学)

(要約)

無触媒脱硝法はごみ焼却炉内に尿素あるいはNH3を注入し、NOをN2に還元させる方法である。この方法は触媒脱硝法に比べ設備が簡易でランニングコストが低廉という長所があるが、未反応のNH3が排ガス中のHClと反応してNH4Clを生成し、白煙が発生するという問題がある。本研究では排ガス処理システムでの白煙生成条件、およびバグフィルター(以下略BF)での薬剤の有無などによる白煙除去可能性を検討した。このため、実験室規模のBF模擬実験装置を作成し、NH3とHCl標準ガスを用いてNH4Cl生成と除去に関する実験を行った。まずろ紙における捕集物のNH3とHClのモル比が実験条件に関わらずほぼ1:1であることからNH4Clとして捕集されることを確認し、捕集率=NH4Cl生成率として考察を行った。NH4Cl生成率は温度の下降とともに増加し、BF操作温度を160℃付近まで下げることで未反応NH3の大部分はNH4Clとして捕集できると考えられる。さらに、BFの表面への活性炭添加によりNH3が吸着され、活性炭噴霧を排ガス処理システムに加えることにより白煙発生の防止効果の向上ができると期待される。

海外出張報告

タイ国との環境産業ビジネスマッチング事業に参加して

新製品紹介

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