(要約)
熱分解ガス化溶融システムの4件目の施設として2005年に納入した掛川市・菊川市衛生施設組合殿環境資源ギャラリーの運転で以下の知見が得られた。①ごみ発熱量・ごみ搬入量の大きな変化があったが安定的に運転を行っている。②自己熱溶融が達成できている。②高温燃焼溶融炉炉材については特に長寿命化が図られている。③施設から排出される鉄、アルミニウム、スラグは安定して資源物として回収・利用されている。
(要約)
地球温暖化防止対策として、2008年度から2012年度までの5年間に、ごみ発電の能力の目標値を5割増(約250万kW)とすることが環境省により策定された。2007年度の見込みが約163万kWであるから、5年間で87万kWを増やすことになる。この計画を達成するためには、新設プラントのほかに、かなりの既存中小清掃工場に、ごみ発電を増設しなければならないものと思われる。一方、これらの中小清掃工場のほとんどは、高圧配電線との連系(受電)であるが、「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」の規定では、電力容量2,000kW以上は特別高圧での連系になる。これが既存中小清掃工場にごみ発電を増設する場合のネックになる。ごみ発電の出力を定めて技術要件の検討を行ったが、発電出力2,000kW以上の高圧連系においても問題の少ないことが確かめられた。検討結果ならびにガイドラインの考え方等を報告する。
(要約)
2007年3月に株式会社アシスト殿より受注し、当社が設計、施工した産業廃棄物処理施設が2008年7月に竣工した。本施設は北海道東部根室支庁管内で発生する産業廃棄物を焼却処理する焼却施設と近隣で水揚げされるホタテの貝殻を焼成処理する焼成施設から構成される。2008年5月下旬から試運転を行い、焼却設備については廃棄物の混合割合等を調整し、安定した運転を実施することができた。焼成設備については充分な焼成物温度が得られたことを確認した。また性能確認試験において、保証値を満足する結果を得ることができた。
(要約)
2007年度に環境省の地球温暖化対策技術開発事業の一環としてバイオマスからメタノールを製造する実証試験を開始した。本技術はバイオマスをガス化し、そのガス化ガスに含まれる一酸化炭素と水素からメタノールを合成するものである。本技術は当社が開発した循環流動層ガス化技術、セラミックフィルタによる高温集塵技術、触媒によるタール分解技術により優れたガス化効率を達成し、さらに天然ガスから工業用メタノールを製造する従来のメタノール製造方式に比べ低温低圧条件下でメタノール合成反応を実現することで省エネルギー化を図り、メタノール合成反応器内部に凝縮部を設け非平衡反応域とすることで高効率化を図った技術である。
実証試験では炭素転換率95%、冷ガス効率65%と高いガス化効率が得られ、またメタノールは安定して50L/日の製造が可能であった。
(要約)
筆者らは、2003年4月にイムノアッセイを測定原理としたダイオキシン類簡易測定技術を開発した。この技術は、2005年9月に廃棄物焼却炉から排出される排出ガスおよびばいじん試料におけるダイオキシン類の測定の一部に、告示法として指定された。しかし、当該技術ではPCBsとの反応性が極めて低い抗体を測定に使用しているため、試料の採取箇所によって高濃度のPCBsに汚染された場所が存在する土壌や底質のスクリーニング技術として適用するには制限があった。
そこで、PCDD/DFsだけでなくPCBsとも高い反応性を示す抗ダイオキシン類抗体を新たに作製し、ダイオキシン類汚染土壌および底質のスクリーニングを迅速・安価に行うことができる新規のイムノアッセイキットを開発した。
本報では、新たに開発したイムノアッセイ技術の測定原理と特徴について報告する。