(要約)
分子サイズの物質の拡がりや衝突を考慮して炉内での混合をより明確にするために、ガス状トレーサを用いた混合実験や酸化性ガスと還元性ガスによる反応実験を行った。ガス状トレーサとして一酸化窒素(NO)を用い、反応実験ではNOとオゾン(O3)との常温での反応を利用した。
トレーサ分布により焼却炉形状・二次空気噴流などの設定条件が燃焼室内での混合特性におよぼす影響を明らかにした。反応実験により反応面からも混合特性を検討し、反応率と混合指標との間に強い相関関係が見出され、ごみ焼却炉燃焼室内での反応において混合が最も重要であることが示唆された。
また、模型内での滞留時間と流動条件との関係を検討し、燃焼室設計においてノーズや噴流の背後にできる旋回流領域の存在を考慮する必要性を論じた。
(要約)
都市ごみ焼却炉から排出されるダイオキシン類の規制強化により、V2O5系触媒による分解除去法が注目を集めている中、これまでに多くの実験が行われ、そのダイオキシン類低減効果が確認されている。しかし実際のごみ焼却ガス中のダイオキシン類濃度はナノグラムオーダーであり、その分解挙動を解析することは非常に困難である。そこで脱硝触媒を用いたダイオキシン類の分解機構および分解特性について調べるために、毒性等価係数の低いダイオキシン類を含む模擬ガスを用いてベンチスケールテストを行った。その結果、ダイオキシン類が酸化分解により除去されていること、SO2濃度が低い場合はバグフィルタ出口温度付近の低温条件(170℃)においても高いダイオキシン類分解性能を示すこと、また触媒中でのガスの混合が重要であることなどが明らかになった。
(要約)
従来、廃家電に含まれる廃基板類は、破砕処理後、大部分は埋立て処分されてきた。しかし2001年4月より本格施行される特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)にともない、廃家電のリサイクル率の向上が求められ、廃基板類を回収・資源化する廃家電処理プラントが実用化されている。今後さらにリサイクル率の向上、またPb等の有害物質の回収率の向上が求められる。
そこで、複合材リサイクル技術(タクマ-リザルトシステム)を用いて、使用済家電の廃基板から金属を回収するテストを行った。その結果、ハンダに含まれるPb、Sn等を含め、金属類の85~90%程度を回収することが可能であることがわかった。
(要約)
ごみ焼却炉、ボイラ、ガス冷却塔等の計画・設計に際して、熱流体シミュレーション技術を用いた。これまで各種装置の特性を考慮して、実測値に基づいた境界条件の検討や各物理・化学現象のモデル化、ガス流れ、伝熱、燃焼の連成問題等の解析手法を確立した。この解析手法を用いて、ごみ焼却炉形状、2次空気吹込み位置と吹込み速度等の条件による焼却炉内燃焼特性、ボイラ形状、ガス流入条件によるガス流れ特性、ガス冷却塔内噴霧水の軌跡と蒸発特性、ガス流れおよび冷却特性、火格子の冷却特性等について実機条件で熱流体解析を行い、各種条件による装置性能への影響および効果を把握し、実機設計に応用した。
(要約)
とうもろこしの芯よりアルコールを抽出、精製する化学工場から排出されるとうもろこし芯の粕(バイオマス)とリグナイト(褐炭)を混焼し、3.0MPa、380℃、30t/hの蒸気を発生する循環流動層ボイラを2000年3月、インドラマ・ケミカルズ(タイランド)社に完成させた。石炭/バイオマス混焼比率は、熱量比で70%/30%、50%/50%、30%/70%とし、それぞれの燃焼および排ガス特性を確認した。性能試験の結果、各混焼比率にて空気過剰率1.25から1.3で燃焼効率99%以上の安定した燃焼が可能であること、また混焼比率によらず、燃焼室内は800~850℃の均一な温度分布となり、NOxは80ppm以下、SOxは約20ppm程度で脱硫効率は90%以上で運転できることを確認した。
部分負荷試験では、60%負荷以上で、NOxは80ppm以下、SOx、COはいずれも100ppm以下であることを確認した。また石炭混焼比が50%以上であれば、低負荷時もベッド温度800℃保持できることを確認した。