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タクマ技報 VOL.17NO.2(2009年12月発行)

表紙写真:いわて県北クリーン(株)(いわて第2クリーンセンター)
タクマ技報 VOL.17NO.2(2009年12月発行)

巻頭論説

バイオエタノール製造の展望について

解説

産業廃棄物処理施設の変遷
桐山 達彦*
(*エネルギー技術2部)

(要約)

産業活動により膨大に発生する産業廃棄物を衛生的に減量する目的で焼却処理が用いられている。近年、循環型社会への移行にともなって産業廃棄物焼却処理施設は、産業廃棄物を単に衛生的に焼却処理するだけでなく、焼却熱からエネルギーを回収する施設としての機能と役割が追加された。また、地球温暖化防止の観点からも、積極的にエネルギー回収を行い温室効果ガスの削減に寄与する産業廃棄物処理施設が望まれている。これらは、廃棄物政策とも関係しており、法律の制定・改正により産業廃棄物処理施設の有様も変化している。

本稿では、多種類の産業廃棄物を経済的に混焼できる焼却炉の構造と適正処理を基本としながらエネルギー回収へと発展してきた産業廃棄物焼却処理施設について、当社の産業廃棄物処理事業会社に納入した実施例を示しながら解説する。

報告

北京高安屯ごみ処理プラント運転報告
前田 功*
(*環境技術2部)

(要約)

近年環境規制が厳しくなると同時に温室効果ガス排出削減の要求が高まっている中国では、廃棄物をエネルギーに転換し、環境保全に適したごみ焼却プラントが採用される傾向にある。中国国内の主要都市ではすでにごみ焼却プラントがいくつか建設されてきているが、首都である北京市においても初めてのごみ焼却発電プラントが建設される運びとなった。

当プラントに設置される焼却炉は2炉であり、1炉あたり800ton/日の焼却能力を有する。これは当社にとって最大規模のものである。また排ガス処理設備として従来の乾式消石灰吹き込み+バグフィルタ方式の代用として高濃度循環型乾式排ガス処理装置を採用した。大きな不具合もなく工事施工および試運転が完了し、2009年7月にはエンドユーザーへの引渡しが完了したので、本報ではその設備内容と運転状況について報告する。

高濃度塩素系感染性廃棄物処理プラント運転報告-感染性廃棄物ブロック供給取扱処理-
日向 宏明*
(*エネルギー技術2部)

(要約)

産業廃棄物の中で医療廃棄物を主流に取扱処理するプラントとして、2007年12月に廃棄物処理施設として設置が許可され、2009年2月に神戸環境クリエート株式会社殿に納入した。

本プラントは、高濃度塩素系廃棄物を含む医療廃棄物を主として、他に多種の産業廃棄物を焼却処理するキルン&ストーカ方式の炉で、HCl対策および感染性廃棄物の供給システムに特徴がある。結果の要約を記載する。

超音波を用いた灯油の霧化燃焼
吉本 聡*
(*技術開発部)

(要約)

強力超音波の利用技術の一つとして、MHz帯の液浸型超音波振動子を利用した液体の霧化技術がある。灯油を上層、水を下層とする二層液中に液浸型超音波振動子から超音波を照射した場合、灯油単独を霧化する場合に比べて約1.5倍の霧化量が得られた。これは、灯油と水の二層境界面に発生する隆起現象のレンズ効果で超音波が集束し、灯油層内の音圧が高くなったためであると推測できた。また、LPGパイロットバーナ火炎に超音波による霧化灯油を供給する燃焼試験を行い、安定した昇温カーブが得られた。

焼酎粕のアルカリ水素メタン発酵運転報告(第3報)
河野 孝志*
(*技術開発部)

(要約)

焼酎粕の保有するエネルギーを効率よくバイオガスに変換し、エネルギー利用するシステムの運転条件の確立を目指し、焼酎粕のアルカリ水素メタン発酵システムの開発を進めてきた。2005年にプラントを建設し、その後芋焼酎粕、麦焼酎粕を受け入れ、長期間にわたる安定処理を実施できた。焼酎粕保有エネルギーとシステムの消費電力に対する回収エネルギーの割合であるエネルギー回収率は、麦焼酎粕で70.6%、芋焼酎粕で63.4%と目標とした60%を超える回収率を達成した。そして、回収したエネルギーをボイラで熱エネルギーに変換することで、従来使用していた化石燃料を削減でき、芋焼酎粕1m3あたり62kg、麦焼酎粕1m3あたり98kgの二酸化炭素排出量削減でき、年間に約950tonの二酸化炭素排出量の削減に貢献できた。さらに、本プラントのランニングコストは現状の焼酎粕処理費に比べ安価であることから、システムの有効性が検証できた。

PFI事業による民間初の廃棄物総合処理センター-いわて第2クリーンセンターの運転報告-
河村 公平*・河本 達志*・今井 元太郎**
(*エネルギー技術2部、**装置技術部)

(要約)

いわて県北クリーン(株)殿向けの「いわて第2クリーンセンター」は、岩手県で初めての民間資本活用を目的としたPFI(BOO方式)公募事業により建設された焼却施設(80ton/日)と溶融施設(13ton/日)を併設した廃棄物処理施設である。本施設は、岩手県下で発生する産業廃棄物や県境の不法投棄産業廃棄物を適正かつ安定的に20年間処理することを目的として建設されている。2008年12月から試運転を開始し、初期の性能を確認して2009年3月31日に引渡しを完了し、同年4月1日より営業運転を行っている。

ここでは、本プラントの施設概要および試運転結果を報告する。

低品質木質チップ燃焼ボイラ設置報告
向井 圭司*・日高 永昌*・廣川 有司*
(*エネルギー技術1部)

(要約)

低炭素社会に向け、新エネルギーとして位置付けされる木質バイオマス燃料の利用が活発に進められている一方で、近年の需要増加に伴う燃料不足が懸念されており、バイオマス燃料焚ボイラプラント建設においては燃料の安定供給が必須の課題となっている。

ここでは、原料として品質基準外であった低品質な未利用木質チップを燃料として有効利用している事例として2009年6月に運転を開始した富山県にある中越パルプ工業(株)高岡工場能町殿に納入した木質燃料ボイラプラントの計画概要および運転結果について報告する。

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