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タクマ技報 VOL.27NO.1(2019年06月発行)

表紙写真:環境の森センター・きづがわ
タクマ技報 VOL.27NO.1(2019年06月発行)

巻頭論説

Renewable Heat (再生可能エネルギー熱)利用技術の展望

解説

ごみ焼却におけるNOx低減技術の変遷
佐藤 和宏*・倉田 昌明*・安榮 健**
(*装置技術部・**環境技術1 部)

(要約)

ごみ焼却における窒素酸化物低減技術は,燃焼制御法,無触媒あるいは触媒脱硝法などの乾式法があげられ,大気汚染防止法等の法規制の強化にともなって技術の高度化が進められている。当社では設備費や維持管理費を低減しつつ,窒素酸化物を排出基準値以下まで安定して除去できる技術を開発し,実機への導入を図ってきている。本解説では,ごみ焼却炉における窒素酸化物に関わる排出規制の変遷と,当社における窒素酸化物低減技術の変遷および最新の技術について解説する。

報告

環境の森センター・きづがわ 運転報告
廣角 次朗*
(*環境技術3部)

(要約)

当社が木津川市殿より受注したごみ処理施設「環境の森センター・きづがわ」が2018年8月に竣工した。当施設の焼却規模は94t/24hであり,ごみを焼却した際の熱エネルギーを回収し,蒸気タービン発電機による発電で所内消費電力を賄い,余剰電力は売電している。本稿では当施設の特徴および運転状況について報告する。

既存ストックを活用したプラント更新計画(住之江工場更新・運営事業)
別枝 宏平*
(*環境技術1部)

(要約)

2018年9月に,大阪市・八尾市・松原市環境施設組合殿より住之江工場更新・運営事業を受注した。本事業は既存の建築物を残した状態で内部の設備を更新するという,既存ストックを活用した事業である。既存建築物を活用する場合には建築基準法上の課題があったが,法令上の免除規定を考慮した綿密な改修計画立てることで解決を図った。さらに,耐震性向上・津波対策・屋上緑化といった,既設工場にはない機能や価値を付加するリノベーションをおこなう計画とした。

「フェーズフリー」防災拠点 今治市クリーンセンター
戸﨑 正裕*
(*環境技術1部)

(要約)

今治市クリーンセンターは,廃棄物の安定処理はもちろんのこと,平常時は「地域住民が集う場」,災害時は「防災拠点(避難所)」として地域に貢献する施設となることを目指し,2018年4月に供用を開始した。特に,「フェーズフリー」という新たな概念を取り入れ,防災の取り組みを平常時にも役立てることで,平常時・災害時の両方で施設価値向上を図る取り組みを,ハード・ソフト両面で実施している点が特徴であり,「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2019」において,最高位にあたる「グランプリ」受賞した。本稿では,本施設の「フェーズフリー」な取り組みについて,また,ハード・ソフト両面での防災の取り組みについて報告する。

階段式汚泥焼却炉における窒素酸化物の低減方法の検討       
堀井 靖生*・水野 孝昭*・株丹 直樹*・宍田 健一*
(*水処理技術部)

(要約)

当社が下水汚泥焼却発電システムにおいて採用している階段炉は,流動焼却炉と比較して一酸化二窒素排出量が少ないという特長がある一方,排ガス中の窒素酸化物濃度は高い傾向にある。既設の階段炉を用いた汚泥焼却システムは,大気汚染防止法の規制値は満足しているが,自治体により規制値が上乗せされた場合等は,NOx低減技術の導入が必要となる可能性がある。そこで本研究では,排ガス中のNOx濃度低減効果の確認を目的とし,自社工場内に設置したストーカ燃焼式実証設備を使用して,被燃焼物の各成分を乾燥汚泥相当に調整した模擬乾燥汚泥を用いた燃焼試験をおこなった。その結果,燃焼制御によるNOx排出抑制法である低空気比燃焼法および燃焼排ガス再循環法により,排ガス中のNOx濃度を150ppmから50ppm以下まで低減できること,またその時のN2O濃度は5ppm以下,排出量としては0.01kg-N2O/t-wet程度となり,NOxとN2Oを同時に低減が可能であることを確認した。

蒸気間接加熱型汚泥乾燥機の開発
堀井 靖生*・水野 孝昭*・株丹 直樹*・宍田 健一*
(*水処理技術部)

(要約)

当社の階段炉による汚泥焼却発電システムでは,低含水率化技術の一つとして蒸気間接加熱型汚泥乾燥機を採用している。このタイプの乾燥機を,脱水汚泥の量的または質的変動の大きい処理場や汚泥処理の広域化に伴う汚泥発生量や性状の変動が想定される処理場に導入し,安定した汚泥焼却発電をおこなうためには,処理能力である水分蒸発速度(単位伝熱面積あたりの水分蒸発量)の調整が必要となる。こうした背景から,従来の乾燥機に水分蒸発速度の調整機能が付加された,汚泥の量的および質的変動に対する調整範囲を拡大した乾燥機を開発した。本乾燥機を用いて実際の下水処理場にて実証試験をおこない,水分蒸発速度が70〜130%の範囲で調整可能であることを確認した。また,各季節において24時間連続運転をおこない,四季により水分蒸発速度の変動があり,可燃分率が低いほど水分蒸発速度は高くなる傾向が明らかとなった。

都市ごみ排ガスからの低温熱回収システムの開発
岩本 敬弘*・工藤 隆行*・藤田 泰行*
(*技術開発部)

(要約)

昨今,都市ごみ焼却施設から発生する排熱の有効利用を高めることが求められている。従来,低温腐食の問題から回収していなかった低温域の排熱を回収するために,当社では耐食性を有するフッ素樹脂を用いた熱交換器を特徴とする低温熱回収システムを開発中である。このシステムを採用することでろ過式集じん器出口の排ガスから熱回収することができ,発電効率を向上させることが可能となる。実施設の1/3規模の実証試験設備を製作し,ごみ固形燃料燃焼排ガスから熱回収する試験を実施した結果,フッ素樹脂を用いた熱交換器の熱交換性能の実測値が理論計算値と同等であることを確認できた。

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欧州廃棄物処理施設調査報告

新製品紹介

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