(要約)
本報告は、通産省資源エネルギー庁の補助事業の一環として実施されたスーパーごみ発電の普及促進に係わる調査研究結果の一部である。スーパーごみ発電は、エネルギーの有効利用および廃棄物発電の高効率化の一手法として位置付けられている。本稿では、スーパーごみ発電の種類と特徴、発電端効率・リパワリング効率・炭酸ガス削減効果・送電原価をまじえた設備設計試算例、さらには国内および海外における実施例を報告する。
(要約)
炉内熱流体シミュレーション技法を活用して、ごみ焼却炉内ガス混合、伝熱および燃焼現象を予測するためには、ごみ層表面におけるガス入力条件、各種解析モデル、モデル定数などの把握とともに、シミュレーション解析結果の検証が必要である。本研究では、小型実験炉(モデル炉)を用い、調湿したごみ固形燃料(Refuse derived fuel)を模擬ごみとした燃焼テストを行い、安定燃焼時の炉内ガス温度分布、ガス組成分布を計測し、計測結果と解析結果とを比較した。その結果、両者はよく一致することが確認され、焼却炉内燃焼と伝熱現象の予測には、熱流体シミュレーション技法が有効であることが証明された。
(要約)
最近のごみ焼却プラントでは、計装システムの高度化および自動化が進み、運転員がプラントを直接操作する機会の減少によって故障および事故時の対応の経験不足が危惧されている。このため、ごみ焼却プラントにおいても運転訓練シミュレータの要求が高まっている。
そこで、今回モデリング手法として物理モデル法を用いたプロセスモデルを内臓したワークステーションと、実プラントと同仕様の分散型制御システム(DCS)とにより構成されたごみ焼却プラント向け運転訓練シミュレータを開発、実用化した。これにより運転員のレベルに応じた計画的な運転訓練が可能となった。また、実プラントでの動特性解析を行い、実データでの整合性を確認した。
(要約)
都市ごみの焼却に伴って排出される飛灰(ばいじん)は、1992年7月より特別管理一般廃棄物に指定され、中間処理を義務づけられており、環境庁告示13号溶出試験で埋立基準値を下回るよう処理したのち最終処分されている。
本研究では、飛灰処理物およびスラグの最終処分場(埋立地)における長期安定性を把握するため、飛灰薬剤処理物を中心に、スラグ、焼却灰などを埋立模型槽に充填し、自然降雨下での暴露実験を行っている。
現在までに実験開始から17ヵ月目までの浸出水の性状が得られ、処理物の種類によって浸出水の量が大きく異なること、降雨に伴って浸出水のpHが変動すること、処理物は無処理物に比べ溶出が抑制されるが、条件によっては無処理物よりも溶出率が高くなることなどがわかった。
(要約)
都市ごみ焼却灰の溶融処理が普及するにつれ溶融飛灰の処理問題が注目されてきている。この問題を解決するため、当社では米国IBC社の金属イオンを選択的に吸脱着できる樹脂(商品名:SuperLig)を用いて溶融飛灰から金属を高純度で選択的に分離回収できるシステムの開発を進めている。基礎実験では溶融飛灰からの金属の溶融条件とSuperLigの金属分離回収への適用性の検討を目的とした。実験の結果、溶融飛灰の鉛および亜鉛の溶融条件としては、塩化ナトリウムを含む塩酸水溶液が最も適していた。また、目的とする金属イオンに対応したSuperLigを用いて溶融飛灰の溶解液から鉛、亜鉛、鉄、アルミニウムをそれぞれ選択的に高純度で分離・回収できることを確認した。さらに、溶融飛灰処理能力30kg/hのパイロット装置を用いて鉛の分離・回収テストを実施し実用化できる目処をつけた。
(要約)
本稿では自己回帰モデル(ARモデル)による環境系プロセスの解析とシステム同定、制御系設計のためのソフトウェアパッケージを開発した内容を紹介する。はじめに環境系プロセスのARモデル解析制御の有効性とARモデル解析・同定・制御パッケージソフト開発の意義を述べる。そしてごみ焼却炉および下水処理場でのARモデル制御の適用例を紹介し、パッケージソフトウェアの内容について述べる。本ソフトウェアの特長は、都市ごみ焼却炉や下水処理における活性汚泥法の研究の中で培ってきたノウハウを反映させた点に加え、解析・同定・制御が一連して行えること、MMI(マン・マシン・インターフェース)が充実しわかりやすいこと、通信機能を考慮し他のシステムとの接続が容易であること、パソコンベースであるためハードウェアが安価であることなど多くあげられる。
(要約)
廃棄物の流動層燃焼におけるNOx排出特性におよぼすモデル廃棄物の形状係数(以下φsと呼ぶ)の影響を調べた。同体積で異なる形状の円柱、およびフィルム状のモデル廃棄物を流動層炉で燃焼した。円柱のモデル廃棄物のφs0は、直径と高さの比を変えることで調整した。また、同じ厚みを持つフィルム状の物に対しては側面比の影響を調べた。揮発分燃焼時間は、形そのものによらずφs0に直接関係した。つまりφs0が大きくなるほど物体の伝熱面積が減少するため、揮発分燃焼時間は長くなった。Fuel-NからNOxへの転換率は、φs0の増加に伴い大きくなり、φs0が0.4から0.9までの範囲においてFuel-NからNOxへの転換率の最大値は、最小値の約2倍であった。揮発分の放出の強さで決まる拡散火炎面と、固形廃棄物の表面との空間でのNOx前駆体の還元反応速度論に基づくモデルにより、Fuel-NからNOxへの転換率におよぼす形状の影響を充分に解析することができた。