(要約)
当社は、ボイラの固体燃焼技術で培った燃焼技術を基礎として、1963年に大阪市住吉工場にわが国最初の連続式ごみ焼却炉を納入し、現在のごみ焼却技術の基礎を作った。一方わが国の高度経済成長にともない、企業で発生する産業廃棄物が急増し始めていたので時代の趨勢を見越して1963年頃より産業廃棄物焼却技術の開発に取り組んだ。その第1号を1965年に自動車企業に納入して以来、実績は業界随一であろう。処理技術は、1975年頃までは、各企業内処理として、固体、液体、汚泥とそれぞれ独立した装置で処理していたが、経験を重ねるにしたがい、性状によって混合処理を行う複合システムが採用されるようになった。また1973年頃より民間処理業者も処理業に進出し始め、廃棄物の性状も複雑となり、処理技術もより一層機械と化学的技術を組合わせた対応をせまられてきた。ここに処理技術の変遷の概要を紹介する。
(要約)
産業廃棄物の処理は、オイルショックにより、大きく変り、経済性が追されるようになった。そのため、焼却炉や処理システムの改良・開発を行った。
その後、産業廃棄物処理は、排出する企業単位の処理から、処理業者に依託されるようになり、処理業者の大形プラントの建設が中心になった。
さらに、世界的な地球環境保護の影響を受けて、高度な処理を行う総合的な処理施設が建設された。
高度な施設の一層の発展と共に、現在の不況下にあっては、安価な処理施設の開発も望まれる。
(要約)
国内で機械炉が稼働を始めた当初、焼却炉の運転はほとんどが機側での手動操作であったが、社会情勢の変化にともない、労働条件や作業環境の改善化の機運が高まり、当社ではいち早く工業用テレビの利用等により、中央制御室での遠隔監視操作の実施を行ってきた。その後、高度成長、大量消費時代を迎え、作業環境の改善や省略化が世の中の大きなニーズとなり、当社ではこれらのニーズに応えるべき、ごみ、灰クレーン、自動燃焼制御システムや、その他の自動化の開発に着手し、実用化を行った。またごみ質の大幅なアップにより「ごみ」の持つエネルギーの有効利用、社会環境整備の多様化による公害防止規定の強化等により、高度な自動制御システムが必要となった。これらの社会ニーズの変化に対応した自動化の開発を行い豊富な実績を得た。特に自動燃焼制御システム、ごみ・灰クレーンの自動化、ピット火災の開発経過についての概要を報告する。
(要約)
前報(その1)では、ごみ焼却炉排ガスを中心に集じん、湿式、乾式HCl除去装置につきソフト面に力点をおいて述べたが、本報でもNOx対策および半乾式HCl除去装置につき開発経過等を含めてこれを踏襲していくことにしたい。
(要約)
ドラム内気水分離器には、サイクロン型気水分離器、反転型気水分離器、多孔板型水面抑制板および乾燥用スクラバなどがあり、それらはそれぞれの用途目的に応じて使いわけされ、または重畳して使われている。それらの間に介在する重力分離も重要な因子であり、その特性を利用することにより各分離器の効果を高くしている。
熱プラント運転の安定性、蒸気質の向上、処理能力の向上、ひいてはコストダウンなどを図るために、空気-水実験によりそれぞれの特性を検討し各圧力における蒸気-飽和水分離にも適用できるように無次元的解析を行い、用途に対応する寸法と配置を考察した。
その結果、サイクロンについては従来よりも単筒あたりの処理能力を30~50%向上できる見通しが、また水面抑制板については性能を向上できる見通しがついた。
なお、気水分離器の計画には負荷変化、水位変化などに対応するために、缶水循環、伝熱面負荷、缶水中に含有される塩類の特性、重力分離の効果など周辺条件を考慮しなければならない重要因子も多く、それらを併行して検討した。ここではそれらの内、個々の気水分離器についての重要と思われる現象や事項を中心として述べる。
(要約)
生体触媒を固定化する技術は医療品分野、化学工業分野などで開発・応用されてきた。近年、汚水処理分野でも、高効率・高機能型の処理法として注目されており、実装置化の事例も増えている。
固定化技術のうち、汚水処理のみならず、生物脱臭などの他の分野へも応用可能な「包括法」に関する基礎実験を行った。
NH4B5O8・4H2O、AI2(SO4)3・18H2OおよびKClの共存溶液に完全ケン化ポリビニルアルコール溶液を滴下すれば、酸・アルカリに不溶の固定化ビーズが得られることを見いだした。また、同法で硝化汚泥を固定化し、人工汚水を用いて窒素除去を行った結果、高い除去率が得られた。
今後は、汚水処理の小規模化、高度処理化などに固定化微生物が大いに寄与するものと思われる。また、汚水処理にかかわらず固定化に要するコストに見合った利用用途の開発も必要である。