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タクマ技報 VOL.2 NO.1(1994年06月発行)

表紙写真:大阪市住吉工場
タクマ技報 VOL.2 NO.1(1994年06月発行)

巻頭論説

液体微粒化と噴霧燃焼

特集

熱源用設備機器の変遷と課題(その2)
田中 政人・入江 強
(設備機械本部 設備技術第一部第一課)

(要約)

1959年より発売した小型貫流ボイラ:商品名クレイトン、タクマックスの発売台数は累計で約15,000台に達する。小規模蒸気分野の熱源機器として、ボイラをとり巻く環境の変化に対応するため、何度にもわたってモデルチェンジを行ってきた。また舶用機器としてはクレイトンの舶用化からはじまり、蒸気ボイラ・熱媒ボイラ・温水ボイラ・排熱回収用エコノマイザと次々と舶用化を行った。それと同時に、船舶への用途開発として各種舶用機器の開発と舶用およびそのシステムへの対応を行ってきた。

排ガス処理設備の変遷と課題(その1)
玉置 彰
(環境技術第一部)

(要約)

タクマにおける排ガス処理の技術は主としてごみ焼却プラントに関連して展開してきた。国の規制値の強化ならびに社会の要求に応じて、最初は簡単なばいじん除去から始まり、次第に酸性ガス除去、窒素酸化物対策へと進む。本号では集じん器、湿式洗浄装置、乾式HCl除去装置について述べ、NOx対策および半乾式除去装置その他については後報とする。

ボイラの変遷と今後の課題(その2)
能谷 博之・土本 信孝・芝川 重博
(機械本部 機械技術第1部)

(要約)

当社の創立以来、半世紀余りにわたって培ってきた産業用ボイラの歴史の中で、固形燃料を扱うボイラは、1938年当社創立当時の、石炭を燃料とするボイラにその源があり、エネルギーの形態の変化から現在の一般産業用ボイラでは、油・ガス焚きボイラが主流を占めるようになったものの、石炭を代表とする固形燃料焚きボイラの需要は依然として存在する。

エネルギ源を石油に依存することによる産業基盤の脆さは、先の石油危機において証明されており、このため、地球上に普遍的に埋蔵されている石炭エネルギ利用に今後ますます期待が高まるであろう。

また、産業の副生品として排出されるバガス(バガスとは砂糖きびの絞りかすをいい製糖工場のボイラ燃料として使用されている)は、限られた業界内ではあるが重要なエネルギー源として活用されており、今地球環境問題を踏まえて、効率のよい利用方法が重要視されている。

ボイラの変遷の中で、前稿では、①油・ガス焚きボイラ、②排熱回収ボイラにて、ついて述べた。本稿では、③固形燃料焚きボイラ、および④各種自家発電設備についての変遷と当社の技術内容について紹介する。

下廃水処理およびし尿処理の変遷と課題
村山 壤治
(水処理技術部)

(要約)

水処理は要素技術の組み合わせである。主技術があってその周辺技術を広げていくのではなく、それぞれ独立した技術があって、処理の目的にしたがって合理的に組み合わせてシステムを構築するのである。それぞれの単一技術は、さまざまな水処理の分野に色合いを変えて適用され展開し、それがまた別の分野の主要部分を占めるというようになる。例えば、上水の重要な処理技術である砂ろ過処理が発展して下水高度処理の主要設備となっていることや、用水処理の膜技術が、困難とされていた活性汚泥の固液分離に使われるなど別の新しい処理技術が生まれ発展してゆくのである。

ここに当社におけるそれらの技術がいかに使われ、発展してきたかを見直すことは、今後新しい分野への展開を志向する時に一つの示唆を与えてくれることになるのではないかと考える。

報告

油焚小型熱機器の低NOxバーナ開発
松井 孝一
(設備機械本部 技術部)

(要約)

近年、出力930kW(800,000kcal/h)以下の小型熱機器についても省スペース設計のコンパクトタイプでかつ低NOxの機器が求められるようになった。

今まで、油焚小型熱機器への低NOx化の要求にたいしてはその都度水噴霧、排ガス再循環等で対応してきた。これらの手段では低NOx化は達成できるものの燃焼負荷は低く、効率低下、取扱の煩雑さの増加、およびランニングコストの増加をともなった。

このたび、出力465kW(400,000kcal/h)から930kW(800,000kcal/h)の真空式温水発生機用に軽質油焚の高負荷燃焼、低NOxバーナを開発した。火炉負荷は2,616kW/m3(225 × 104kcal/m3h)に達するが、バーナのみで低NOx化を達成した。NOx値は灯油で75ppm(O2=0%換算)以下である。

燃焼方法は理論空気量以下の旋回空気量で構成する一次燃焼部にたいして、その外周に複数の二次空気ノズルを中心軸にたいして20℃傾斜で構成して二次空気を一次燃焼部の下流に供給する二段燃焼方式である。

ここでは、燃焼方式確立にいたる基礎試験の概要、および同バーナの出力581kW(500,000kcal/h)の温水機での実用化試験の結果について報告する。

重合格子法による焼却炉内ガス流動解析
劉 大偉
(環境設備本部 環境技術第一部)

(要約)

ごみ焼却炉内における燃焼ガス流動と混合特性を解明するために、焼却炉をモデル化して、炉内ガス流動と混合のシミュレーションを行った。

ごみ焼却炉の断面形状は変化しないとして、2次空気噴射ノズルを含む縦断面を計算領域とし、炉内ガス流動を2次元定常流として扱った。乱流の評価には、比較的汎用性の高い、乱れの等方性を仮定したκ-ε2方程式モデルを採用した。

焼却炉の形は目的に応じて、多種多様で非常に複雑であるが、従来の研究では、複雑な計算領域における計算格子の生成、あるいは、変化が激しい局所を含む大きいスケールでの数値計算に対して、計算格子の生成は常に困難な問題であった。この解析では、ごみ焼却炉の特徴を考慮して、重合格子法を採用し、この問題の解決を試みた。重合格子法を用いることにより、複雑な計算領域で格子を容易に生成し、しかも計算領域全体の様子を把握すると同時に、変化の激しい局所も細く解明することができる。

CWM専焼ボイラの開発と運転実績
野上 晴男*・野尻 治*・片岡 静夫*・平井 哲郎**・永井 伸樹**
(*機械本部 機械技術第1部、**東北大学 工学部 機械航空工学科)

(要約)

CWMを使用して重油並みの操作性、燃焼性、信頼性を有する産業用ボイラを開発するために、CWMバーナの開発と燃焼実験が行なわれてきた。新たに設計・製作された内部混合型環状スリットアトマイザは、ノズルが閉塞しないよう留意され、良好な微粒化性能を示す。CWM噴霧は広い燃焼範囲にわたって空気と十分に混合してバーナ近傍で安定に着火し、強い空気旋回力で高負荷燃焼が得られる。これらの基礎実験結果に基づいて設計された、蒸発量45t/hの商用ボイラは、高効率の性能と良好な燃焼特性を達成し、13,000時間以上の長期連続運転にも十分耐えられることを実証している。

高負荷・膜分離方式によるし尿処理
安宅 敏治
(水処理技術部 第二課)

(要約)

し尿処理の分野では技術革新が目覚しく、現在では希釈水を使用しないで高度な処理を行う高負荷脱窒素方式の中で、生物処理後の固液分離に限外ろ過膜を用いた処理方式が注目を集めており、シェアを拡大しつつある。わが社では長野県裾花衛生センター内にし尿処理実証プラントを建設し、1990年11月から1991年12月まで高負荷・膜分離方式による10kl/日規模の実証試験を実施した。

この結果、し尿を高負荷・膜分離方式で処理することにより、無希釈で放流水のBOD10mg/l以下、COD20mg/l以下、TN20mg/l以下、TP1mg/l以下、色度30度以下で安定して運転できることを確認した。また限外ろ過膜は生物処理後の混合液の固液分離に優れた性能を持っていることが確認できた。この分野の技術は、さらに進歩を続けるものと見られ、わが社も放流水のTN10mg/l以下、COD10mg/l以下とするためのテストを実施中である。

学会報告

DIOXIN'93に出席して
第11回プラズマシンポジウム

新製品紹介

ハイニルダー
リ・サーム蓄熱脱臭システム
サントリー家庭用浄水器 アクララF
タクマックスTWGN-2000型(ガス焚)

特許・実用新案紹介

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