(要約)
筆者らは嫌気性消化槽内の二酸化炭素濃度を増加するとメタンガスの増収が図れる現象をパイロット規模実験で実証してきた。このメタンガス回収量の増加が二酸化炭素と水素の生物反応系に起因するものと考え、4H2+CO2→CH4+2H2Oの反応式で必要な水素の生成系路を調査した。
実験条件として、3条件の二酸化炭素濃度の消化槽を用いた回分式実験方式により有機物性状の経日変化を調べることで以下の実験結果を得た。
嫌気性消化槽内の二酸化炭素濃度を高くすると次の効果があると考える。
1)メタンガス発生量は増加するが、初期二酸化炭素濃度が約70%の場合、発酵初期にメタン化が低下する現象も起った。
2)固形物中の有機物分解率および固・液相の全有機物濃度を示すCODcrの分解率が増加する。
3)初期二酸化炭素濃度が約58%の場合は主に炭水化物が分解し、さらに約70%に増加した場合ではタンパク質も分解すると思われる。
4)有機物中のC・N・S元素の減少率よりも、H元素の減少率の増加比が大きくなることから、有機物からの脱水素反応を促進する効果があると考える。
以上のことから嫌気性消化槽内の二酸化炭素濃度を増加すると有機物の脱水素反応を助長し、低分子化を促進する効果があり、離脱した水素は過剰に存在する二酸化炭素と共にメタンの素材として利用されると推定した。
(要約)
省エネルギーは国家的な重要課題として以前より取り上げられているが、なかでもガスタービン・コージェネレーションは電力と熱を同時に得ることによりエネルギの利用率を高めることができるため、有効な手段として注目を集めている。当社は、1990年よりガスタービンによるコージェネレーション設備に取り組み、省エネルギーの一役を担っており、ここに紹介する。
(要約)
エポキシ樹脂は耐熱性、接着性、電気特性等の多くの優れた点があるため、電子機器やその部品に広く使用されている。その中でも特に、ICパッケージ用モールド樹脂として多くの需要がある。このモールド樹脂は、強度特性の向上や増量効果のため充填剤としてシリカ粉および難燃性の付与のため、臭化物と三酸化アンチモン(Sb2O3)等が含まれている。そして、半導体の製造時に残廃として排出されるモールド樹脂成形残廃は、全体の約30%もあり、現在は再利用されずに埋立処分されている。
本研究により、この残廃を熱処理することにより、樹脂中に含有されているシリカおよびSb2O3を回収し、熱処理時に発生する臭素系排ガスも分解無害化するシステムを開発することができた。
(要約)
ごみの焼却熱を利用して発電を行うためには発電設備を追加設置しなければならず、これら設備の製造・建設・運転にともなうエネルギーも必要となる。また、通常のごみ発電はごみ焼却にともなって発生する塩化水素等による過熱器管腐食の問題から蒸気温度を高くできず、発電効率は十数%と低いとされているが、ごみ発電のライフサイクルエネルギーバランスでは現在稼働している事業用発電所のライフサイクルエネルギーバランスと同レベルであることがわかった。さらに、ごみ発電の高効率化を目的としたリパワリングおよびNOx、ダイオキシン同時抑制を目指したリバーニングについてもライフサイクルエネルギーバランスを検討し、これらの方法がエネルギー回収に有効であり、リパワリングではごみ焼却施設に併設するガスタービンに総合的に最も効率の良くなる最適なサイズが存在することが明らかになった。