(要約)
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)開始以来6年がたち,木質バイオマス発電所は次々と竣工し,2016年度末時点で出力2MW以上の未利用木材によるバイオマス発電は約29万kW・32件,一般木材・農作物残渣によるバイオマス発電は33万kW・20件が稼働している。2015年度からは未利用木材バイオマス発電に新たに2MW未満調達価格40円/kWhの区分が加わった。2017年度より改正FIT法の施行により制度が大きく変わる中で,輸入木材やPKSを使用する20MW以上の一般木材・農作物残渣バイオマス発電に対しては抑制の動きがあり,2017年10月より調達価格が24円/kWhから21円/kWhへと減額された。これを受け,今後は一般木材・農作物残渣バイオマス発電の普及が落ち着くと共に,徐々に未利用木材バイオマス発電に移行するものと思われる。
(要約)
2016年11月に諏訪湖周クリーンセンターが竣工した。本施設は,長野県の諏訪湖周辺に位置する岡谷市,諏訪市,下諏訪町の2市1町のごみ処理施設を統合し,広域ごみの処理を行うための施設である。本施設では,「高効率ごみ発電交付要件(発電効率14.0%)を上回る事業提案」を行うとともに,「要求水準を上回る自主管理値の設定」を行い,運営事業を継続している。本稿では,事業提案の達成確認と施設の特徴である高効率ごみ発電に関する運転状況について報告する。
(要約)
下水処理場では,既存の水処理施設への窒素・リン除去対応の高度処理導入のための水処理施設の増設,および老朽化による土木躯体を含めた改築更新(建て替え)が増えつつあり,これらに要する用地確保と建設コスト縮減等の課題がある。当社は,日本下水道事業団,JFEエンジニアリング株式会社と共同で,用地制約のある処理場においても低コストで高度処理化や改築更新を可能とする,担体法と高速砂ろ過を用いた既存の水処理施設の処理能力増強技術を開発した。本報では実施設とパイロットプラントの組み合わせで実施した実証試験結果ならびにケーススタディ(ライフサイクルコスト等の試算)について報告する。実証試験では1年間を通じて処理水質は目標水質を達成し,安定運転できることを確認した。これにより本技術が既存の高度処理施設の処理能力を最大2倍程度に増強できることを実証した。ケーススタディでは,本技術の改築更新におけるライフサイクルコストは従来技術と比べて約32%削減との試算結果となった。
(要約)
平成25,26年度に国土交通省のB-DASHプロジェクトとして,「下水道バイオマスからの電力創造システムに関する技術実証研究」を実施した。このシステムでは脱水機として機内二液調質型遠心脱水機を採用し,革新型階段炉における焼却発電の実証を行った。一方,遠心脱水機と比較して設備消費電力が3分の1程度であるスクリュープレス脱水機においても二液調質型が商品化されており,下水処理場への導入が進んできている。本研究では革新型階段炉の実験炉において,スクリュープレス脱水汚泥の燃焼試験を実施し,焼却灰の熱しゃく減量,排ガスCO濃度について,目標値を十分満足していることを確認し,革新型階段炉に対し,遠心脱水機の脱水汚泥と同様にスクリュープレス脱水汚泥が適用可能であることを確認した。また脱水機の低消費電力化により,外部供給可能な余剰電力が増加し,他の設備も含めた運転コストの縮減に寄与できることを試算により確認した。
(要約)
熊本市東部浄化センター内に設置した固定床型アナモックスプロセスのB-DASHプロジェクト実証施設を用いて,B-DASH終了後の平成26年度以降も本プロセスのさらなる低コスト化や安定化を目的とする検討を行なっている。本報では,特に中長期停止に関する影響について報告する。実証施設の運転に際し,夏季・冬季(盆正月)の休暇時に最大17日間の施設停止を行ない,立上げ後速やかに停止前と同等の処理能力に復帰できることを確認した。また,熊本地震とメンテナンス時の約1ヶ月以上停止した場合でも,亜硝酸化槽およびアナモックス槽ともに微生物は失活することなく活性を維持し,短期間で立上げ可能であることを確認した。