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タクマ技報 VOL.31NO.2(2023年12月発行)

表紙写真:河北郡市クリーンセンター
タクマ技報 VOL.31NO.2(2023年12月発行)

巻頭論説

嫌気性バイオテクノロジーを用いた環境保全システムの脱炭素化

解説

技術士制度について
印藤 信哉*
(*技術企画部)

(要約)

技術士は技術士法で定められる国家資格であり,技術者としての能力と高い技術者 倫理を備えていることを証明する資格である。その資格認定制度である技術士制度は,第二次 世界大戦後の復興と世界平和の貢献を目的として創設された。技術士制度は社会情勢や技術士 法の改正等に応じて適宜見直されており,制度の内容は技術士を取得された方はもちろんのこ と,これから技術士を目指す方々においても理解しておく価値のあるものである。そこで本稿 では,技術士制度の概要を紹介するとともに,制度改革の動向についても簡単に紹介する。

報告

下水汚泥とバイオマス等混焼時のクリンカ生成に関する検討
伊藤 竜生*・佐藤 夏紀*・藤平 弘樹*・増田 孝弘*・宍 田 健 一 **
(*研究部・**技術センター)

(要約)

汚泥焼却における温室効果ガス排出量削減の有効な方策のひとつとして,補助燃料 に化石燃料の代替としてバイオマスの利用がある。ただし,バイオマスはカリウムを多く含む ことから,汚泥とバイオマスとの混焼の際に低融点・低沸点化合物生成によるクリンカ生成が 懸念される。本研究では,下水汚泥とバイオマス等の混焼灰の特性や挙動に関し,模擬灰を用 いて元素分析,熱分析,高温顕微鏡観察等を実施することにより,混焼時のクリンカ生成リス クの評価を実施した。 その結果,模擬灰において一部の物質の揮発は 600℃付近からはじまり,温度の上昇ととも に揮発量が多くなる傾向が認められた。また高温顕微鏡観察により,混焼条件で灰の収縮,融 解する温度が変化し,刈草や剪定枝の混焼時は,汚泥専焼時よりも灰の収縮・融解する温度が 100℃程度下がることが示唆され,これらの混焼によるクリンカ生成の可能性は汚泥専焼時に 比べ 100℃程度低温領域まで広がる可能性があるものと考えられる。

省エネルギー型 CO2分離回収技術の開発
藤川 宗治*・釼持 恭平 **
(*研究部・**装置技術部)

(要約)

2050 年のカーボンニュートラルの実現に向けて,燃焼排ガスなどの CO2排出源から CO2を分離回収し,貯蔵・固定化することが必要不可欠な状況である。化学吸収法による CO2分離回収では,大量の CO2を分離・回収するのに適しているが,CO2吸収液を加熱して CO2を放散する吸収液再生工程で大量の熱エネルギー (現状 2.5 GJ/t-CO2程度) を消費する ことが課題である。当社では,非水系の新規吸収液の採用,および CO2排出施設の廃熱利用 も含めたトータルでのプロセス構築により,必要な熱エネルギーを 1.5 GJ/t-CO2未満に低減 できる目途を得た。本稿では,非水系の新規吸収液を用いた省エネルギー型 CO2分離回収に 関する開発について報告する。

画像処理を用いたごみ混合度数値化システムの実証試験報告
関根 諒一*・中元 祥*・古賀 和宏*
(*電気計装部)

(要約)

ごみクレーン自動運転機能を高度化し,ごみピットのごみを従来の自動撹拌制御以 上に均質化することを目的として,運転員の目視の感覚 (色味のばらつき) を数値化するシス テムを開発し,2020 年のタクマ技報 28 巻 1 号にて報告した。本システムは,ごみピットの ITV 画像のカラー成分から特定の色味の画素を抽出し,ごみピットの各番地内において抽出 された画素の面積率やばらつきを計算することにより,ごみの混ざり具合 (ごみ混合度) を数 値化できる。本稿では,ごみ混合度数値化システムを組み込んだごみクレーン自動制御装置を 納入した実プラントにおいて自動運転を実施し,燃焼安定性の向上およびごみクレーンの消費 電力抑制に対する影響を評価した結果を報告する。

耐火タイルの活用
嶋﨑 洋平*
(*装置技術部)

(要約)

ごみ焼却炉ボイラー水管壁に用いられる不定形耐火物は,使用環境が過酷で損耗し やすく,補修や更新を容易におこなうことができないため,施設を長期間運営する上で耐久性 とともにメンテナンスの容易さが求められている。これらの課題を受けて開発された耐火タイ ルは,近年の材質や構造の改良により耐久性に優れ,容易に交換が可能なものへと進化を遂げ ている。本稿では,当社が納入したボイラーで使用されている耐火タイルの材質,構造および ごみ焼却炉以外のボイラーへの適用事例について紹介する。

勇払エネルギーセンター殿向け75 MW 級バイオマス発電所 運転報告
福沢 正伸*・島村 太**・中江 穣**
(*エネルギ―技術1部・**エネルギー技術2部)

(要約)

日本製紙株式会社殿と双日株式会社殿により設立された勇払エネルギーセンター合 同会社殿向けに勇払バイオマス発電所を 2023 年 1 月に納入した。本発電所は当社初の 75 MW 級バイオマス発電所であり,バイオマス専焼発電設備としては国内有数の発電規模である。本 稿では勇払バイオマス発電所の設備概要および運転結果について報告する。

大阪広域環境施設組合 住之江工場 運転報告
藤井 智史*・赤江 宣勇*・林 健太*
(*環境技術3部)

(要約)

我が国最初の全連続燃焼式焼却炉として 1963 年に住吉工場 (後に住之江工場に改 称) が建設された。現在の住之江工場は,その工場の後継施設として 1985 年から 1988 年にか けて場所を移転し建替え工事が実施されたものである。28 年間稼働しプラント設備が老朽化 したため,2016 年に一旦休止となった。 住之江工場では 1985 年の建替え当初から長期間に渡り建物を利用する計画があり,今回の 工事では既設建物を活用しつつ耐震性,指定緊急避難場所としての機能を確保した上でプラン ト設備一式を更新し,2023 年 3 月に竣工した。 今回更新した施設では,「厳しい排ガス規制に対応する自主管理値の設定」,および「高効率 ごみ発電の実現」をおこない,運営事業についても大阪広域環境施設組合から受託している。 本稿では,本施設の特徴と引渡性能試験結果,各種運転状況について報告する。

河北郡市クリーンセンター 運転報告
安藤 周平*
(*環境技術3部)

(要約)

当社がかほく市・津幡町・内灘町の1市2 町で構成される河北郡市広域事務組合殿 より受注したエネルギー回収型廃棄物処理施設「河北郡市クリーンセンター」が 2023 年 3 月 に竣工した。本施設はごみと下水汚泥を混焼するとともに,焼却した際の熱エネルギーを回収 して,蒸気タービン発電機による発電をおこなっている。発電した電力は当施設内の各機器駆 動用電源,同敷地内の隣接施設の各機器用電源として使用され,余剰電力は売電している。ま た,回収した熱エネルギーは下水汚泥の前処理 (乾燥),ロードヒーティング,給湯・空調に も活用している。本稿では本施設の特徴および運転状況について報告する。

    

学会報告

下水道展 ʼ23 札幌
    

新製品紹介

水素焚き真空式温水機「ゼロエミッション・バコティンヒーター GTL-300ZE」

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