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タクマ技報 VOL.19NO.1(2011年6月発行)

表紙写真:Lakeside Energy From Waste Plant
タクマ技報 VOL.19NO.1(2011年6月発行)

巻頭論説

「エコ」とごみ発電

解説

超音波の特徴とその利用技術
中村 健太郎*・鮫島 良二**・松田 由美***
(*東京工業大学、**技術開発部、
***水処理技術部)

(要約)

超音波は、おおむね周波数が20kHz以上の音や振動のことであり、空気中、液体中、固体中などを伝搬する。計測や非破壊検査から、そのエネルギーを利用した洗浄や加工などのパワー応用まで、工業的な利用が進んでいる。周波数が高いため波長が短く直進性が高いこと、電波や光が伝わりにくい水中や固体中で減衰が少ないことが計測や非破壊検査に用いられる理由である。また、振動振幅は高々10μmのオーダーと小さいが、周波数が高いために振動加速度は非常に大きくなり、高い音圧や振動応力が容易に発生する。この性質が機械加工や接合などに応用されている。超音波洗浄機のように液中で高い音圧を発生させると、キャビテーションが起こる。キャビテーション気泡が破壊する際の高温・高圧状態やジェット流がさまざまな物理的、化学的効果を引き起こす。本稿では、超音波の特徴を述べ、いくつかの利用法を紹介する。具体例として液浸型超音波霧化装置によるアルコール濃縮について説明する。

半導体製造工場における化学汚染物質制御技術
吉澤 巌*
(*(株)ダン・タクマ)

(要約)

半導体製造工場におけるデバイスの微細化は革新的な進化を遂げ、それに伴いクリーンルームの環境は従来の粒子汚染だけではなく、化学汚染物質・温度・湿度・振動・磁場などの制御がより重要となってきている。特に酸性ガス、塩基性ガス、凝縮性有機物質、およびドーパントのような極微量の化学汚染物質(Airborne molecular contaminants (AMCs))が、半導体デバイスの信頼性などに大きな影響を及ぼしている。その対策としてイオン交換法や物理吸着法などの各種除去原理によるケミカルフィルタと分析機器とを用いてAMCsの制御を行うことが有効である。デバイスの微細化はさらに進み、13.5nmと非常に短い波長の次世代のEUV(Extreme Ultra Violet)露光装置の稼動が始まろうとしている今、AMCs制御技術の重要性が増している。本稿では、AMCs制御技術全般とAMCs制御に有効であるクリーンルーム環境のAMCsをリアルタイムで連続監視することのできる測定装置について解説している。

報告

レークサイド運転報告
谷 良二*
(*環境技術2部)

(要約)

本施設はフルターンキーベース契約で英国に納入した廃棄物発電設備であり、弊社が欧州に納入した第1号機である。設備は熱回収、省エネルギーを徹底追及した要求内容となっている。また、安定稼動の信頼性を確認するためのテスト(Reliability Test)が課せられており、この内容はテスト開始から終了までの期間を1,440時間(60日間)と定めこの期間中に1,340時間以上の運転時間が100%MCR運転であることを実証しなければならないという厳しいものであるが、このテストに合格し、さらに焼却能力、発電能力、施設内電力使用量、排ガス規制値及び薬品使用量等各種性能保証項目を全て満足することができ、施設の性能及び連続安定運転を実証することができた。

接触分解法を用いた廃食油からのバイオ軽油製造技術
土肥 弘敬*・佐藤 和宏*
(*技術開発部)

(要約)

新規に開発された固体触媒を用いた接触分解反応により、オレフィン・パラフィンから成るバイオ軽油を廃食油から製造する技術の確立を目的として実証試験を実施した。触媒反応器と分留器から構成される廃食油の処理量5L/hの実証設備(プロトタイプ設備)を設計・製作し、その設備の運転性能を確認した結果、軽油留分について、重量収率60%、エネルギー回収率67%(その他の成分を含めると87%)を得た。得られたバイオ軽油は軽油規格に適合する品質であった。また、この燃料を用いてスクールバスへの100%給油による試験運行を行った結果、バイオ軽油の給油量約500L、総走行距離約2,700kmに達し、運転性も市販軽油と同等であるとの評価を得た。

ガスタービンコージェネレーション設備 設置報告
松田 健治*
(*エネルギー技術1部)

(要約)

今回、(株)大塚製薬工場松茂工場殿においてエネルギー効率向上とCO2排出量削減を目的とした設備導入の一環として弊社はガスタービンコージェネレーション設備を2010年7月に納入した。この設備は、ボイラ設備の燃料転換と合わせて、工場全体で年間1,810kL(原油換算)のエネルギー使用量削減と、7,600tonのCO2排出量削減を図るものである。本稿においては、そのガスタービンコージェネレーション設備の概要および運転状況について報告する。

レーザ式HCL計の概要と有効性の検証
松田 吉司*
(*電気計装部)

(要約)

1990年代にレーザ式排ガス分析計が欧州で製品化された。サンプリングガスを吸引することなく測定するため、高速応答性、メンテナンスフリーという特徴をもち、連続分析計として世界中で既存の分析計に取って代わりつつある。日本国内でも各メーカが製品化に成功し、レーザ式排ガス分析計に関するJIS規格も制定されて、普及が進んでいる。本稿ではレーザ式排ガス分析計の中でもHCL(塩化水素)計について報告する。レーザ式HCL計はJIS規格に準拠しており、廃棄物焼却炉の排ガス測定方法として法的にも問題はなく、従来のイオン電極式に比べ応答速度が約10分早いため、乾式酸性ガス除去装置の消石灰吹込制御に適用した場合、消石灰使用量を約10%低減できる。これは炉規模300[ton/日]での1炉あたりの1年間の用役費において約1,580万円の削減になり、メンテナンスの省力化や制御性・操業性向上、運営費削減などメリットが多い。

受賞

優秀省エネルギー機器 日本機械工業連合会会長賞受賞
低空気比ジェットフィルム燃焼式ガス焚小型貫流ボイラ-スーパーエクオスEQi-2000/2500

海外視察

環境省委託「国内外における廃棄物処理技術調査」に係る欧州調査報告
-ごみ焼却発電の進展とごみ処理広域連携を中心として-

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