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タクマ技報 VOL.13NO.2(2006年02月発行)

表紙写真:下水汚泥ガス化実証プラント
(埼玉県三郷市中川処理センター内に設置)
タクマ技報 VOL.13NO.2(2006年02月発行)

巻頭論説

バイオマスは地球を救うか

解説

高温・高圧流体利用技術の現状と展望
福里 豊・宍田 健一
(技術開発部)

(要約)

超臨界をはじめとする高温・高圧流体を利用した技術は、反応器材質の耐久性、反応器内でのスケール発生による閉塞の危険性など、エンジニアリング上の課題から実用化が進展しなかったが、広く研究開発が進展してこれから課題の解決の糸口が見出されつつある現状である。本技術は化学合成のみならず、環境汚染負荷・化学物質リスクの削減あるいは有機廃棄物やバイオマスからの新エネルギー・新素材生成技術として高い能力を有しており、上記エンジニアリング上の課題が解決されれば非常に有用な技術となりうる。

本稿では、高温・高圧流体の特徴を紹介するとともに、現状の課題と開発状況を概説し、今後の展望を述べる。

報告

凍結濃縮処理による高効率浄水スラッジ処理システムの開発
福里 豊*・吉井 隆裕**・伊藤 伸治***・瀬尾 敦子***
(*技術開発部、**水処理技術部、
***東京ガス(株))

(要約)

アンモニア吸収冷凍機を用いた凍結濃縮処理による浄水スラッジ脱水システムは、常用発電設備コージェネレーションシステム(CGS)の排熱がある場合、排熱を熱源として冷凍機を駆動させることで、消費電力を従来の電動圧縮式冷凍機を用いた場合の約1/4とすることができ、省電力、省エネルギーなシステムである。本稿では、東京都水道局と東京ガス(株)との契約に基づいて行った実証実験について報告する。凍結濃縮システム実証試験設備を東京都A浄水場に設置し、4ヶ所の浄水場スラッジを用いて実施した通年における検証試験を実施した。冬季では全脱水ろ過スラッジ量に対する凍結スラッジの割合50%以上、夏季および秋季では25%以上で、ろ過速度の向上を確認した。これにより脱水処理における消費動力の削減が見込まれる。

上向流移床型砂ろ過池(ユニフロサンドフィルタ)による窒素除去
奥田 正彦・土井 知之・坂上 正美
(水処理技術部)

(要約)

下水の窒素除去技術は、生物反応タンクに関する技術が確立され実績を重ねつつあるが、従来の標準活性汚泥法に比べて建設・運転コストが高く、スペースの拡張を伴うため、特に用地の少ない都市部では早急に導入するのは難しいのが現状である。そこで、従来の発想を転換した新しい窒素除去プロセスの開発を目的として、砂ろ過施設(移床型)に改良を加えて窒素除去機能(脱窒)を付加することで、窒素・SSの同時除去が可能な上向流移床型砂ろ過器の開発を行った。

下水二次処理水を対象とした実証試験を実施し、炭素源としてメタノールを添加して上向流移床型砂ろ過器の脱窒性能の評価を行った。ろ過速度245~400m/日(平均300m/日)、原水硝酸性窒素(NO3-N)濃度15mg/Lの条件で試験を行った結果、ほぼ完全に脱窒ができ、窒素・SS(懸濁物質)の同時除去を達成できることがわかった。さらに、この砂ろ過(脱窒)と標準活性汚泥法(硝化促進運転)を組み合わせることで、既存技術に比べ、省スペースで維持管理費が同等以下となる窒素・SSの同時除去システムの構築ができることを確認した。

なお、本報告は、東京都下水道局との共同研究(2002~2004年度)の成果である。

バイオマスガス化プロセスから発生するタールの触媒分解技術の開発
佐藤 和宏・土肥 弘敬・篠田 高明
(技術本部 環境・エネルギー研究所)

(要約)

バイオマスのCFB(Circulating Fluidized-Bed)ガス化プロセスにおいて発生するタールの処理として、触媒による水蒸気改質による分解除去を検討した。新たに開発したNi/MgO・CaO触媒を用いて、模擬ガス基礎試験を行うとともに、下水汚泥系バイオマスのガス化プロセスへの適用を試みた。その結果、触媒温度750℃の低温域においても、高いタール改質活性を示すこと、硫化水素存在下においても、800℃以上において100時間安定して改質活性を示すことを確認した。また、下水汚泥燃料のガス化では、ガス中に200~300ppmの硫黄の存在下、触媒温度800~850℃において、97%のタール改質率が得られた。同時にアンモニアについても90%以上が分解され、安定してタールおよびアンモニア改質性能を示すことを確認した。本触媒は市販の水蒸気改質触媒に比べて、高い低温活性、および耐硫黄性を示す結果が得られた。

高効率ダスト払落しノズルの開発
吉本 聡
(要素技術部)

(要約)

セラミックフィルタやバグフィルタのダスト払落しに適した空気噴射ノズルを開発した。新ノズルは、ノズル抵抗が小さいラバルノズルの下流側に空気吸込整流孔を設け、噴射空気に直進性を持たせたことを特長とする。

セラミックフィルタのダスト払落しに利用した場合、従来ノズルと同じ条件で約1.5倍の噴射空気圧をフィルタ表面に与えることができ、また通常のバグフィルタでも約25%の空気使用量削減や高い差圧回復能力があることを確認した。

新型排ガスレーザO2分析計実機適用検証
松田 吉司・藤川 博之・辻本 進一
(電気計装部)

(要約)

わが社ではいち早く、レーザ計測技術を利用した排ガス中O2濃度のリアルタイム計測および二次空気リアルタイム制御に着手し、高度燃焼技術実証試験にてごみ焼却プラントでの適用検証を実施し、実際に実機にも導入し非常に良好な結果を得た。特に今後受注の低空気過剰率燃焼を特徴とする新世代ストーカ式ごみ焼却プラントの安定燃焼には非常に有効である。

しかし、今までの排ガスレーザO2分析計は、非常に高価な上に、さまざまな制約が多く、今後の導入は大変な困難を伴う。

そこで安価でさらにハンドリングのよい新型排ガスレーザO2分析計のごみ焼却プラントへの適用が可能か検証するために、長期連続測定試験・エアパージ適用試験・高温度雰囲気下測定試験・低酸素濃度測定試験を実施した。

いずれの検証試験でも良好な結果を得て、ごみ焼却プラントへの適用が可能と判断できたので報告する。

広東生益(GUANGDONG SHENYI)含浸プラント
小山 和男・明定 正敏
(エネルギー機器事業本部)

(要約)

2005年10月に納入完了した中国広東生益向けプリント基板絶縁材用プリプレグ製造装置の含浸プラントの紹介を行う。

本プラントは含浸ライン4ライン、各含浸ラインから排気される溶剤含有ガスを蓄熱脱臭装置1基で処理しているプラントである。一般的には乾燥機の熱源として熱媒油ボイラを熱源として使用しているが、本プラントは蓄熱脱臭装置からの廃熱を利用した熱媒油ヒータ回収により、エネルギーとしてのオイル代を節約している当社最新のプラントである。

ごみ焼却飛灰のダイオキシン類加熱処理における未燃炭素の影響に関する基礎的研究
増田 孝弘*・角田 芳忠**
(*環境技術部、**北海道大学大学院循環資源評価学(タクマ)講座)

(要約)

飛灰中のダイオキシン類の低減において、冷却過程におけるデノボ合成を抑えることが重要である。本研究では、未燃炭素がデノボ合成の主要な要因ではないかと考えて、ダイオキシン類と未燃炭素との関係を検討した。実規模装置で加熱処理された飛灰を用いて、ダイオキシン類濃度と未燃炭素量が加熱温度の上昇につれて減少することを確認した。また、加熱処理過程を模擬するために飛灰が異なる温度および雰囲気ガス条件で加熱し、急冷・徐冷による再合成実験を行った。結果として、ダイオキシン類と未燃炭素との良好な相関関係が見出され、未燃炭素がデノボ合成の主要な要因であることを実験的に明かにした。

海外視察

廃棄物発電のネットワーク化に関する研究 海外視察に参加して
IFAT 2005 国際見本市視察と南ヨーロッパの環境事情

新製品紹介

札幌市東部処理場下水高度処理設備
天津双港ごみ焼却発電工場

特許・実用新案紹介

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