タクマ技報 VOL.22NO.2(2014年12月発行)

表紙写真:エコパーク阿南

タクマ技報 VOL.22NO.2(2014年12月発行)

下水処理技術の変遷-この20年を振り返って-

松田 由美*・奥山 雄二*・宍田 健一*
(*水処理技術部)

(要約)

下水処理技術は、その時々のニーズにより変化を遂げ、様々な技術が開発されてきた。水処理技術は、処理・浄化機能の向上とともに、省エネ化、低コスト化および維持管理性の改善が図られてきた。汚泥処理技術についても同様に、難濃縮性汚泥への対応や、汚泥量の増大、汚泥のリサイクル推進、バイオマスとしての有効利用、省エネ、温室効果ガス削減および創エネなどが図られ発展してきた。本稿は、下水処理技術についてこの20年間を振り返り、下水道の課題や下水道を取り巻く状況を踏まえつつ、水処理技術と汚泥処理技術に分けて変遷を述べる。また,それらに対応するこの20年間の当社の主な開発技術を紹介する。

都市ごみ焼却施設における水銀除去技術の開発

佐藤 恵*1・鈴木 賢*1・前田 典生*2
(*1装置技術部、*2装置技術部(現在、技術開発部))

(要約)

世界各国では、「水銀に関する水俣条約」の早期発効(2016年頃)を目標に、途上国支援や水銀対策技術、環境再生などに取り組んでいる。条約発効後、都市ごみ焼却施設からの排出水銀濃度が規制され、水銀対策技術が求められることから、都市ごみ焼却施設における排ガス中の水銀濃度を調査し、確実に水銀を除去でき、かつ維持管理費を低減できる技術の実証試験を行った。バグフィルター(以降、BF)に流入した水銀は、一旦ろ布上の飛灰に吸着されるが、時間経過とともに脱離してBFを通過し、その下流側に排出されていることが確認された。BF出口煙道で水銀を検出した際にろ布の強制逆洗を行い、さらに活性炭を投入することで、水銀を吸着した飛灰を速やかに払い落すことができ、再付着灰から脱離した水銀が活性炭に吸着されるため、水銀のBF下流側への排出量を抑制することが可能である。

飛灰循環による酸性ガス除去実績報告

大山 譲*1・倉田 昌明*2*・前田 典生*2
(*1装置技術部、*2装置技術部(現在、技術開発部))

(要約)

飛灰循環装置はバグフィルターで捕集した消石灰吹込み飛灰を再度バグフィルターへ投入し、飛灰中の未反応消石灰を有効利用することにより、薬剤使用量の低減を図る装置である。本報では2014年3月に一般廃棄物ごみ焼却施設であるエコパーク阿南に設置した飛灰循環装置の運転実績について報告する。本施設の実運転で飛灰循環時にHClおよびSOx除去のそれぞれにおいて40~50%の薬剤使用量低減効果が見られた。また、制御性においても飛灰循環により、安定することを確認した。

水冷ストーカ運転報告

秋山 仁*・柴田 清*
(*装置技術部)

(要約)

水冷ストーカは火格子の冷却効果が高く、火格子の耐久性が大幅に向上するとともに、発熱量が高い燃焼物や低空気比高温燃焼に対応できる。当社は水冷ストーカを自社開発し、2007年3月に水冷ストーカの実機1号機を燃焼物の発熱量が16.7MJ/kg(4,000kcal/kg)と高い産業廃棄物焼却炉に導入した。改造前の空冷火格子では耐用年数が1~1.5年程度であったが、水冷火格子に変更することにより耐久性は5倍近くに向上した。上記以外にも熱負荷が高い産業廃棄物焼却炉の数施設に水冷ストーカを導入しており、いずれのプラントも安定運転を継続できている。また、都市ごみ焼却炉においても維持管理費低減を目的として水冷ストーカを導入し、2013年12月より稼働を開始したところである。

エコパーク阿南 運転報告

平野 智章*
(*環境技術2部)

(要約)

当社が2010年9月に阿南市殿より受注したごみ処理施設「エコパーク阿南」が2014年3月に竣工した。本施設は、熱回収施設とリサイクルセンターから構成され、熱回収施設では、ごみを焼却した際の廃熱を利用して発電、給湯を行うとともに、併設する灰溶融炉にて、ごみ焼却時に発生する焼却灰の溶融スラグ化を行い、灰の資源化を図っている。本焼却施設の規模は48t/日×2炉であるが、ごみ焼却により発生した熱エネルギーを回収し、蒸気タービン発電機による発電で所内消費電力を賄い、余剰時は売電している。本稿では、本熱回収施設の特徴およびその運転状況について報告する。

2013年度竣工のごみ処理施設の改良工事報告

田宝 直樹*・谷野 佑太*
(*環境技術2部)

(要約)

2013年度に竣工した小針クリーンセンターおよび逗子市環境センターの改良工事について報告する。小針クリーンセンターの排ガス処理設備等改修工事は、1984年より稼働している施設の老朽化した排ガス処理システムを、ろ過式集じん方式へのシステム変更および施設延命化を目的に2012年5月より工事に着手し、2013年9月に竣工した。新設した排ガス処理設備は、排ガス保証値を全て満足し、良好な運転を行っている。逗子市環境クリーンセンター基幹改良工事は、1981年より稼働している施設の低下した機能を回復し、かつ温室効果ガスの排出抑制(CO2削減)および施設延命化を目的に、2011年12月に着手し、2014年3月に竣工した。COsub>2削減対策として、高効率電動機の採用とインバータ制御方式への変更、低空気比運転を可能とする自動燃焼制御装置を導入した。これらによって場内電力使用量の削減を行い、改良工事前と比較しCOsub>2削減率13.1%を達成した。いずれの工事とも、焼却炉を稼働しながらの工事であり、工法、施工手順、工程において様々な工夫を行った。両施設とも、所期の性能を満足し、竣工後現在に至るまで良好な運転を継続している。

固定床型アナモックスプロセスによる高効率窒素除去技術に関する技術実証研究 その3

高木 啓太*・久留須 太郎*・入江 直樹*・宍田 健一*
(*水処理技術部)

(要約)

国土交通省の「下水道革新的技術実証事業」(B-DASH プロジェクト) において、当社は熊本市および日本下水道事業団と共同で「固定床型アナモックスプロセスによる高効率窒素除去技術に関する技術実証研究」を平成24年度および平成25年度事業として実施した。本事業は、国土交通省国土技術政策総合研究所(以下、国総研)からの委託研究で、下水処理場における嫌気性消化汚泥脱水ろ液からの窒素除去を目的とした処理水量50m3/日のアナモックス実証プラントの連続運転を行ない、定常運転時には窒素除去率として平均80%以上の処理性能が実証できた。また、一時的に原水濃度を変動させた流入負荷変動時においても定常運転時とほぼ同等の窒素除去性能が得られ、安定した運転が維持できることを確認した。その他、維持管理に関するデータ収集を行った。これらの成果を基に、国総研は本技術の普及展開を図るため、本技術の導入に係るガイドライン案を策定し、現在国総研HPにて一般公開されている。

飯坂クリーンサイト第2期最終処分場浸出水処理施設建設工事(第1工区)

岡田 真治*1・岸 研吾*2
(*1水処理技術部、*2水処理業務部)

(要約)

当社は、2013年6月に浸出水処理施設を株式会社クリーンテック殿に納入した。本稿では、今回納入した処理施設における施設概要、設備構成および運転状況について報告する。本施設は、最終処分場からの浸出水を対象とした処理施設であり、処理能力は220m3/日である。処理設備は、高濃度COD原水に対応するためのオゾン酸化処理や、排水中のホウ素を除去するホウ素吸着塔などの高度処理設備を有している。また、放流前の処理水塩素イオン濃度が高い場合の対策として脱塩装置を設置している。本施設は、2013年7月より処理を開始し、2014年7月までの1年間の平均処理水量は167m3/日であり、放流水質基準値を満足した運転を継続している。

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