タクマ技報 VOL.24NO.2(2016年12月発行)

表紙写真:久留米市宮ノ陣クリーンセンター

タクマ技報 VOL.24NO.2(2016年12月発行)

水銀排出規制の最新動向について

太田 智久*
(*東京技術企画部)

(要約)

地球規模での水銀による健康被害,環境汚染の危険性を低減させることを目的に,2013 年「水銀に関する水俣条約」が熊本で採択された。2016 年に第23 番目の締約国として批准した日本の水銀排出量は世界の約1 % と少ないが,過去の水銀による健康被害,環境汚染の経験を踏まえ,世界の水銀排出削減のため,国内における水銀の大気排出規制値を定めるとともに,廃水銀などを新たに特別管理廃棄物として指定した。さらに,水俣条約で要求されている以上の水銀規制対策となる水銀の輸出入の原則禁止,水銀使用製造の規制の前倒し,大気排出規制対象施設でない鉄鋼製造施設の一部施設に対する水銀排出量の自主的削減を求めるなど,水銀の排出削減を率先して行う姿勢を示している。

下関市環境部奥山工場(170t/日炉)運転報告

別枝 宏平*
(*環境技術1部)

(要約)

2016 年3 月に,下関市環境部奥山工場170 t/日炉が竣工した。本施設は,当社が1987 年に納入した220 t/日炉の老朽化に伴って建設した施設であり,「無触媒脱硝設備」,「高効率ごみ発電」および「既存施設との整合」を特徴とする施設である。「無触媒脱硝設備」に関しては,アンモニアガスを圧縮空気と混合して炉内噴霧するシステムにより脱硝が安定して制御でき,「高効率ごみ発電」に関しては低温触媒の採用等により,高効率ごみ発電施設の交付要件である発電効率15.5% を充分に満足する20% 超を達成した。また,「既存施設との整合」に関しては,他社製の180 t/日炉に隣接して建設されるため既設兼用部と新設部を機能的に接続させつつ,構造上は独立した構造として建築基準法上の増築扱いとならないように考慮した。なお,各種性能試験においてはすべての項目で保証値を満足する結果が得られた。

久留米市宮ノ陣クリーンセンター運転報告

田所 伸悟*
(*環境技術3部)

(要約)

2016 年6 月に久留米市宮ノ陣クリーンセンターが竣工した。このセンターは,焼却施設と破砕選別施設を有する「工場棟」,カン,ビン,ペットボトルや容器包装プラスチックなどの中間処理を行う「リサイクル棟」,および環境学習の拠点となる「環境交流プラザ」から構成される。焼却施設では,公害防止基準値よりもさらに厳しい当社自主運転基準値を設け,運転を行っている。竣工にあたって実施した引渡性能試験では,すべての項目で各基準値を十分満たす結果が得られた。本稿では,引渡性能試験の結果と施設の特徴である「飛灰循環システム」および「高効率ごみ発電」に関する運転結果について報告する。

製紙系バイオマス焼却プラントの運転報告

矢野 貴之*・河本 達志*
(*エネルギー技術2部)

(要約)

丸三製紙株式会社殿は,福島県で半世紀以上に渡って段ボール古紙の再生利用などの製紙業を営んでいる企業である。東日本大震災以後,省エネ・省資源化に配慮した段ボール原紙の薄物化と高品質化を実現する生産設備の更新を行い,福島県の復興再生を牽引されている。当社は,2016 年1 月,同社工場から排出される廃棄物をバイオマス燃料として有効活用するための焼却プラントを納入した。本稿では本プラントの設備構成を説明し,試運転において性能確認項目を満足したのでその結果について報告する。

産業廃棄物焼却施設での低温熱回収バイナリー発電設備運転報告

雨森 隆*1・河本 達志*1・桐山 達彦*2
(*1エネルギー技術2部、*2栃木ハイトラスト㈱)

(要約)

2014 年12 月に栃木ハイトラスト株式会社既存焼却施設に低温熱回収バイナリー発電設備を増設したので,その経緯と設備概要および運転状況について報告する。
 既存施設に熱回収設備を増設する場合の様々な制約条件の下で最適な計画を立て,機能面での工夫も講じたことにより,設置後の運転は順調であり,原油35.3 kL/年の省エネルギー効果,70.5 t-CO2/年のCO2排出削減効果を生み出した。

固定床型アナモックスプロセスによる高効率窒素除去技術 その5
  ―低コスト化運転における処理性能ー

高木 啓太*・土井 知之*・宍田 健一*
(*水処理技術部)

(要約)

熊本市東部浄化センター内に設置した実規模の「固定床型アナモックスプロセス」の実証プラントを用いて,国土交通省下水道革新的技術実証事業(平成24〜25 年度) 終了後の平成26 年度以降も本プロセスのさらなる低コスト化を目的とした検討を実施している。平成27 年度の運転では,亜硝酸化槽の水温を従来の35℃から30℃に低下させた条件で約5ヶ月間の連続運転を行ない,亜硝酸化槽,アナモックス槽ともに従来と同様に安定した運転が維持でき,プロセス全体として窒素除去率80% 以上の安定した処理性能が示された。さらに,この5ヶ月間の内,約4ヶ月間は脱水機の稼働状況に合わせて週末に運転を停止する間欠運転を行なったが,これによる影響はなく安定した処理性能が維持できた。

レーザ排ガス分析計を用いたごみの低位発熱量リアルタイム演算と自動燃焼制御への適用と効果

坪田 知也*・渡瀬 雅也*・藤川 博之*
(*電気計装部)

(要約)

焼却炉出口に設置したレーザ排ガス分析計を用いて,連続測定した排ガス中のH2O,O2 濃度,および演算により求めたCO2 濃度を用いて,ごみ中の可燃分組成(C, H) およびごみの低位発熱量をリアルタイムに演算するシステムを開発した。また,ごみの低位発熱量演算値からボイラー蒸発量を予測したところ,実測値より約4 分先行して蒸発量変動を捉えることができた。このボイラー蒸発量予測値を自動燃焼制御へ適用することによって,ボイラー蒸発量実測値の標準偏差が制御値に対して1.21% になり,既存自動燃焼制御の3 分の1 以下になった。さらに焼却炉出口O2 濃度,煙突排ガス流量の変動も既存自動燃焼制御の半分程度になり,発電量についても約1 % 向上し,タービンバイパスへの流出蒸気量も発電量約0.5% 分抑制できた。

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