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タクマ技報 VOL.10NO.2(2002年12月発行)

表紙写真:さいたま市大宮南部浄化センター
タクマ技報 VOL.10NO.2(2002年12月発行)

巻頭論説

循環型社会における都市ごみ処理の理想型を考える

報告

バクテリアルキトサンの培養生産-グルコサミンを主成分とする多糖類の生産-
井上 智代*・和田 克士*・平尾 知彦**
Jin-Ho Jang***・Hui Ching Hia***・池 道彦***・藤田 正憲***
(*技術開発部、**技術企画部、***大阪大学大学院 工学研究科 環境工学専攻)

(要約)

われわれは、嫌気性発酵から得られる有機酸(酢酸・プロピオン酸)を原料として、菌体外にバイオ凝集剤を生産する微生物Citrobacter sp.TKF04株について研究を行ってきた。その結果、生産されたバイオ凝集剤BF04は、キチン・キトサンに近い構造を持つ高分子であることが予想されていた。キチン・キトサンは、凝集剤だけでなく医薬、農業、工業など様々な分野で注目されつつある天然素材であることから、微生物で生産する本高分子の利用価値は益々高くなるものと考えられる。しかし、これまでの研究では、生産性が高くないこと、および化学構造の詳細が明らかとなっていないことから、まだ実用化の段階には至っていない。ここでは、これまでの研究結果に基づいて、pH stat fed-batch培養方法を用いた生産物の増産と、生産物の評価について検討した結果を報告する。その結果、生産物の収量および性質は、培養条件(植種量、培養液組成、攪拌スピード等)によって異なり、増産および製品の均一化のためには培養条件を最適化しなければならないことがわかった。また、各種分析により、生産物を構成している主成分はグルコサミンであり、これがβ-1,4結合で連なった多糖類であることが確認できた。この微生物産生多糖類は、キチン・キトサンに構造が類似しているキトサン様物質のため、われわれは"バクテリアルキトサン"と命名した。

真空下におけるマイクロカプセルラリーの潜熱蓄熱特性(その1)
片山 正敏*・稲葉 英男**
(*設備機械本部設備技術部、
**岡山大学工学部機械工学科教授)

(要約)

エネルギー利用の中で、高効率利用とエネルギー貯蔵技術は最重要課題と考えられている。熱需要と供給の時間的、空間的なミスマッチを解消する蓄熱技術に関する様々な研究、開発が行われている。しかし、安価な蓄熱材である水は、顕熱蓄熱のため大型の装置となる問題が生じている。最近、微小な球状のカプセルに封入した潜熱蓄熱材を水に分散混合させることで、潜熱蓄熱材が固相時にも流動性を保つ熱媒体の研究が行われている。本研究は、潜熱体を融点62℃のパラフィンを充填したマイクロカプセルスラリーを用い、大気圧以下の蓄熱装置においてプール沸騰状態での蓄熱実験を行い、沸騰挙動および沸騰現象、潜熱蓄熱材が蓄熱に与える影響に関して検討したものである。さらに潜熱蓄熱材の蓄熱時間(固―液相変化完了時間)を表す無次元整理式と相変化開始から完了までの平均熱伝達率を表す無次元整理式の誘導を行った。

ごみ焼却プラントでのレザー計測技術とその応用(第2報)
劉 大偉*・吉本 聡*・倉田 昌明*・片岡 静夫**
(*技術開発部、**技術本部)

(要約)

近年、高性能レーザの開発と共に、特に、高出力可変波長半導体レーザが誕生してから、レーザ計測技術は急速に発展し、従来計測しにくい高温燃焼場およびダストを含んでいるガスをリアルタイムで直接計測することが可能となった。前報では、焼却炉燃焼場のレーザ計測技術の計測原理、LDV(Laser Doppler Vilocimeter)による炉内ガス流れとガス混合特性の計測、分光吸収法によるガス中O2濃度のリアルタイム計測の計測方法、計測結果および燃焼制御の結果を報告した。本報では、排ガス処理システムにおいて、レーザ計測技術の原理、計測方法、実機焼却炉排ガス中のHCl計測結果および考察を報告する。

鶏糞燃料焚流動層ボイラ発電プラント
向井 圭司*・吉永 靖浩*・小野 徳重**・山下 雅英*
(*新エネ・環境本部 エネルギー技術部、**田熊プラント(株) 技術部)

(要約)

家畜の牛、豚、鶏の糞尿は、これまで主に堆肥として使用されてきたが、その量は増加し続けており、2004年度に施行される家畜排せつ物管理法に向けて適切な処理法が求められている。タクマは畜糞有効利用の一環として、宮崎県内で排出される鶏糞量の約半分である年間約10万tonの鶏糞を目標に燃焼させて、そのエネルギーを蒸気および電気として回収する鶏糞燃料焚流動層ボイラ発電プラントを、宮崎県の南国興産株式会社殿に納入した。ここでは、プラントの計画概要および試運転結果について報告する。

最終処分場浸出水のダイオキシン類分解除去を目的とした促進酸化処理-TeRRA研究会による検討-
松田 由美・宍田 健一・春木 裕人・古川 清
(水処理設計部)

(要約)

最終処分場浸出水に含有されるダイオキシン類の分解除去技術の確立が急務となっており、促進酸化処理法を用いた浸出水処理システムの開発を目的にTeRRA研究会が設立された。本研究会は、福岡大学、㈱神戸製鋼所、新日本製鐵㈱、㈱タクマ、東レエンジニアリング㈱、日本鋼管㈱、前澤工業㈱で構成される。TeRRA研究会では、①促進酸化処理を既存の浸出水処理工程の前段に組み込むことで凝集沈澱処理などの後工程で発生する汚泥中と放流水中との両者のダイオキシン類を同時に低減させることを目的とした "流下液膜反応型紫外線照射装置(UV-FF)"、②最終工程に組み込むことで放流水へダイオキシン類が漏洩することを確実に阻止することを目的とした"AOP併用型膜ろ過装置"、および③光触媒を併用することでさらに高効率でダイオキシン類を分解することを目的とした"光触媒搭載型AOP装置"を研究対象として検討を行っている。

新型表面溶融炉の開発と運転実績
吉本 聡*・芝野 伸二**
(*技術開発部、**装置設計部)

(要約)

化石燃料を熱源とする表面溶融炉において、溶融効率の向上を目的に新型4面式表面溶融炉を開発した。新型4面式表面溶融炉は炉内全周を灰でシールし、小容量バーナを適正に配置することで炉内雰囲気を均一にするものである。処理能力8ton/24hの実験炉では、238~256l/灰tonと従来炉と比較して約20%燃比を削減、また同実験炉の運転データをベースに製作した13ton/24hの実炉は安定稼動し、228~240l/灰tonと低燃比で運転できることを確認した。

学会報告

第22回ダイオキシン国際会議に参加して
5th Asia Pacific Chitin-Chitosan Symposium & Exhibition
第12回ヨーロッパバイオマス会議に参加して

新製品紹介

名古屋猪子石工場

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