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タクマ技報 VOL.23NO.2(2015年12月発行)

表紙写真:脱硝触媒のオンサイト再生
タクマ技報 VOL.23NO.2(2015年12月発行)

巻頭論説

放流先の環境を創出する下水道に向けて

解説

タクマ最新の排ガス処理技術
東 晋二*・鎌田 全一*・田口 彰*
(*装置技術部)

(要約)

廃棄物焼却施設で発生する有害物質を含む排ガスを処理する方法として、最近当社で開発した5種の技術について解説する。その技術は、①飛灰循環システム、②炉内NOx低減技術、③尿素分解装置、④オンサイト触媒再生システム、⑤水銀用活性炭投入装置である。これら技術を組み合わせることにより発電量の増加、薬剤(消石灰、活性炭)使用量の削減、脱硝用アンモニアの設備費および運営維持管理費の削減、脱硝触媒装置のコンパクト化による設備費低減などのメリットが得られる。

報告

札幌市西部スラッジセンター 蒸気発電設備運転報告
中西 譲*・株丹 直樹*
(*水処理技術部)

(要約)

札幌市西部スラッジセンターでは発生した汚泥を階段式ストーカ炉で焼却しており、これに伴う排ガスの熱エネルギーを廃熱ボイラで蒸気として回収し、汚泥の乾燥用熱源、空気予熱および暖房・給湯に利用している。しかし、回収した蒸気は全量有効利用されていたわけではなく、一部は余剰蒸気として大気放蒸されていた。

そこで、この大気放蒸していた余剰蒸気を有効活用するため、小型蒸気発電設備の新設工事をおこない、焼却設備の蒸気バランスに影響を及ぼすことなく、定格出力となる160kWの発電を安定しておこなえることを確認した。

「クリーンセンターかしはら」における脱硝触媒のオンサイト再生の実績報告
鈴木 賢*1・美濃谷 広*2・鎌田 全一*1・田口 彰*1
(*1装置技術部、*2技術開発部)

(要約)

都市ごみ焼却施設では、窒素酸化物の高効率除去を目的として触媒脱硝装置を設置している。触媒は排ガス中に含まれる硫黄酸化物とアンモニアから生成する硫安や酸性硫安が付着することにより、経年的に性能が低下する。性能が低下した触媒は、新品と交換するか、あるいは触媒脱硝装置から取り出して再生施設で再生する必要があり、そのため1〜2ヶ月程度の休炉期間を設ける必要がある。また、再生処理の際に衝撃などで触媒が破損する恐れがあるため、再生処理は2〜3回程度が上限で、それ以降は新品を購入する必要がある。当社は、短期間で触媒の再生が可能で、触媒の破損なく20回以上再生することが可能となるシステムとして、触媒を触媒脱硝装置に設置した状態で再生する「オンサイト再生システム」を開発した。2014年5月、本システムの初号機を「クリーンセンターかしはら」に導入した。本システムを用いて全3基の触媒脱硝装置を順次再生し、3基すべてについて触媒の脱硝性能が新品同等まで回復すること、また、煙突入口のダイオキシン類およびアンモニア濃度が再生前に比べて低減することを確認した。

NH3とNaOHによるボイラ水処理のごみ焼却施設への適用
森岡 泰樹*・熊谷 淳一*・藤田 泰行*
(*環境技術1部)

(要約)

アンモニアと水酸化ナトリウムを使用するボイラ水処理方式である「給水AVT(LO)+ボイラ水低濃度水酸化ナトリウム処理」を国内のごみ焼却施設に適用して、約6ヵ月間にわたり運転・調査を実施した。運転期間中、給水・ボイラ水のpH・電気伝導率を設定した管理基準値内で運転管理ができた。水質分析結果から鉄・銅の濃度上昇はなく、腐食傾向はみられなかった。運転終了後の内部状況確認の結果、新たな腐食の発生は観察されず良好な表面状態であった。スラッジ・テストピースなどの組成分析においては、マグネタイトとヘマタイトが同定され、テストピースの腐食速度は最大0.023mm/年と低い値であった。これらの結果より、本水処理を適用した実機において良好な状態での運転が可能であったと判断でき、国内ごみ焼却施設のボイラへの適用可能性が示唆された。

木質バイオマス燃焼灰の再資源化技術開発・実証事業
井藤 宗親*1・河野 孝志*2・前田 典生*1
(*1技術開発部、*2エネルギー技術1部)

(要約)

木質バイオマス発電が注目され社会に普及しつつあるなか、発電プラントから排出される燃焼灰の多くは廃棄物として処理されており、資源の循環活用および経済性の観点から、有効活用する技術が求められている。木質バイオマス燃焼灰はカリウムを多く含むため、肥料として有効活用できれば,廃棄物の循環利用、100%輸入に頼っているカリウム鉱石の代替となり、日本の農業基盤の安定化に寄与できる。

本実証事業では、まず2か所の木質バイオマスボイラについて樹種別、燃焼方式別の燃焼灰やカリウム排出特性を把握した。さらに肥料の有効成分であるカリウムを分級という簡易な方法により分離・濃縮するシステムを開発し、既設の木質バイオマスボイラプラントで実証試験を行い、分離・濃縮特性を明らかにした。また燃焼灰を用いた肥効試験を行い、従来のカリウム肥料と同等の肥料効果があることを確認した。

建屋天井搬入口開閉テントによる工事効率化
福島 大志*・藤本 正之*
(*東京工事部)

(要約)

2013年3月に玉村町殿向け玉村町クリーンセンター基幹的設備改良による長寿命化工事が竣工した。既に稼働している施設で実施する延命化工事は、ダイオキシン類対策特別措置法による規制を受ける。管理区域1(空気中のダイオキシン類濃度2.5pg-TEQ/m3以下)内の空気などの放出量を減少させるために、搬出入時間(=開口部の開放時間)を短くし内部負圧環境(密閉空間内は大気圧と比較し約0.2%減の圧力(実測値))からの放出量を最小限にする必要がある。工事は建屋の天井を各炉の更新機器据付箇所に合わせて開口し、搬出入する従来の方法で行った。その開閉方式については手動開閉できるジャバラ仕様のテント方式を採用し、開口端部での作業に関する安全性および長期使用に対する耐久性などに関し満足する結果が得られ、高い費用対効果も確認できた。

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