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タクマ技報 VOL.15NO.1(2007年08月発行)

表紙写真:葛飾清掃工場
タクマ技報 VOL.15NO.1(2007年08月発行)

巻頭論説

嫌気性アンモニア酸化(anammox)反応を活用する新規窒素除去技術の開発

解説

高度水処理技術の変遷と動向
坂上 正美*
(*環境・エネルギー研究所)

(要約)

河川、湖沼や内海等の水辺環境の保全にとって下水・廃水の処理は重要な課題である。わが国では、まず有機物の量を示すBOD、CODの低減を主目的に水質汚濁防止法が1970年に制定され、産業廃水、生活廃水の排出濃度基準が定められた。今日、この法律が河川の浄化に効果を発揮してきたことは、環境基準の達成率が大きく向上していることや身近な水辺の環境が改善されていることからも実感できる。しかし、湖沼や東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海の閉鎖性水域では今だに水質の改善が進まず、環境基準の達成率はほとんど横ばいの状態である。また、これらの水域では毎年アオコや赤潮が頻発していることを考えると、住民の憩いの空間が十分保全されているとはいえない。これらの現象を捉えてアオコや赤潮発生の原因である栄養塩類の削減を目的として1993年に水質汚濁防止法が改正され、新たに窒素、りんの項目が追加されたが、まだ今日でも成果が上がっていない。このため、2003年に下水道法施行令の大改正が行われ、放流水質項目として新たに窒素、りんが加えられて下水の高度処理施設整備のための制度が作られた。このような法規制の強化とともに海外の技術導入や処理技術の研究開発が進み、多くの新技術が実用化されてきている。これらの技術革新の変遷と今後の高度水処理技術の動向について述べる。

報告

東京二十三区清掃一部事務組合・葛飾清掃工場
西村 正弘*・高部 真司*・藤井 陽一*
(*環境技術第二部)

(要約)

2006年12月に東京二十三区清掃一部事務組合殿にごみ焼却プラントを納入した。

本施設では廃棄物の焼却の際に発生する熱を積極的に回収し、廃棄物発電を行うとともに、その電力を利用してプラズマ溶融炉で自工場灰および他工場受入灰を溶融処理している。

約6ヶ月間の試運転を行い、性能試験では焼却設備、溶融設備とも各設計能力を満足し排ガス測定値、溶融スラグ溶出試験でも十分に基準を満足するものであった。

ゴムの木燃焼23MW発電プラントの運転報告
竹口 英樹*・寺田 克也*・山下 雅英*
(*エネルギー技術部)

(要約)

2006年11月、当社はタイ国南部ヤラー県にあるGulf Yala Green Co., Ltd. に、ゴムの木製材所より排出される廃材を燃焼させ、23MWの発電を行うバイオマス発電プラントのYALA GREEN POWER PLANTをターンキーベースにて完成させた。

本プラントはゴムの木の受入、破砕燃料化、貯蔵、燃焼、灰処理までの燃料・灰処理設備、受水から排水までの水処理設備および115kV受送電設備といったバイオマス発電に必要なすべての設備を有している。

運転は良好であり、性能も保証値を満足するものであった。

12.9MW級ガスタービン・コージェネレーションの性能試験結果報告
吉田 邦夫*・池田 広司*・望月 健一郎*・萱原 俊哉**
(*タービンシステム技術部、
**機械営業部)

(要約)

当社は、シーメンス社(Siemens Industrial Turbomachinery Ltd.)と1990年よりガスタービンのパッケージング契約を締結している。シーメンス社が新たに開発した12.9MW級二軸式ガスタービンであるSGT-400型を搭載したタクマ・ガスタービンコージェネレーションTCP-12000の初号機および2号機を最近納入した。

天然ガスを使用するコージェネレーションはガスタービンからの排熱を回収することによりCO2削減による地球環境負荷低減に大きく寄与する設備として知られている。SGT-400型はISO基準発電出力12.9MWにて軸端効率は34.8%とこのクラスでは世界最高クラスの高性能を有し排ガス温度も555℃と高く総合効率は世界トップでありコージェネレーション用途として最先端かつ最適な機種である。

促進酸化法を利用した複合的酸化処理による超高度処理技術の開発
土井 知之*・奥田 正彦**・宍田 健一*
(*水処理技術部、**技術開発部)

(要約)

近年、下水資源の活用や高度処理の必要性が高まるなか、下水処理水の再利用あるいはCOD低減のためには、生物処理に加えてさらに高度な処理が必要となり、処理コストの増加が課題となっている。従来のオゾンと生物活性炭を利用した高度処理に対し、筆者らはオゾンより酸化力の強いヒドロキシルラジカルを利用した促進酸化法(オゾン/過酸化水素)を利用することで、より少ないオゾン消費量で効率的に処理するシステムを開発した。

下水二次処理水CODMn3mg/L以下を目標とし、その達成のための諸条件を確立した。ランニングコストは、従来法と比較して低減された。同時に再利用のための各水質項目について安全性を確認し、本システムが下水二次処理水の超高度処理システムとして有効な処理システムであることを確認した。

なお、本報告は日本下水道事業団殿と当社による共同研究「難分解性物質等の環境リスク低減技術の開発」の成果である。

高速砂ろ過装置の開発
土井 知之*・奥田 正彦**
(*水処理技術部、**技術開発部)

(要約)

今後、閉鎖性水域へ放流する下水処理場において、下水道法施行令の改正などを背景として、砂ろ過設備の普及が拡大すると予想される。しかし、従来の急速ろ過設備を設置するにはスペース的に余裕のない処理場が少なくないため、急速ろ過設備として多くの実績を有する「上向流移床型砂ろ過装置」のコンパクト化を目指し、高速化タイプの開発を行った。

ろ過速度は従来の日最大300m/日(時間最大450m/日)に対し、日最大700m/日(時間最大1,000m/日)にまで高速化され、設置スペースが大幅に削減できた。さらに、消費電力も大幅に削減され、省エネルギー設備としてのメリットも確認された。

なお、本技術は日本下水道事業団殿と当社による共同研究「難分解物質等の環境リスク低減技術の開発」の成果の一部であり、2007年3月に(財)下水道新技術推進機構殿による建設技術審査証明を取得している。

回転ドラム型濃縮機の実証試験報告
和田 浩幹*・水野 孝昭*・山下 博史**
(*水処理技術部、**東京都下水道局)

(要約)

下水汚泥濃縮分野において従来の機械濃縮機はエネルギー消費量が大きく、地球温暖化防止の観点から省エネルギーで高効率な濃縮機が希求されている。

こうした背景から、従来の機械濃縮と同等の濃縮性能を保有し、かつ低消費電力型である回転ドラム型濃縮機の開発を行った。

汚泥の集約処理における送泥汚泥を対象とした実証試験を実施した結果、安定した処理性能(濃縮汚泥濃度4%以上、SS回収率95%以上)を得ることができた。また、従来技術である遠心濃縮機と、導入時の機器費、15年間の薬剤使用量、電気使用量を対象としてコスト比較を行った結果、電気使用量および温室効果ガス排出量を90%以上削減できることが可能であった。また、全体でみると、遠心濃縮機の40%程度の費用ですむことが明らかとなった。

両性荷電膜を用いた塩類分離技術の開発
土肥 弘敬*・坂上 正美*・清野 竜太郎**
(*環境・エネルギー研究所、**信州大学工学部物質工学科 准教授)

(要約)

新規脱塩処理技術として、独自に開発した両性荷電膜を用いた拡散透析法および圧透析法について検討を行った。両性荷電膜を用いた方法は、電解質と非電解質を選択的に分離することができるため、濃度分極が起こりにくく、操作性が簡単で、必要エネルギーが低いという特徴を持つ。

拡散透析法において脱塩試験および脱イオン試験の基礎実験を行った結果、今回開発した膜が塩の透過量を任意に設定できること、Na+、K+、Cl-等の一価イオンに対して高い塩透過性を有することを確認した。また、圧透析法による塩透過性実験により、優れた塩透過性を確認でき、圧透析用の膜として十分利用可能であることが確認された。

海外視察

第26回ダイオキシン国際会議に参加して
ISWA 2006 国際会議に参加して

新製品紹介

藤沢市北部環境事業所 1号炉更新工事(ごみ処理施設)

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