(要約)
近年、地球温暖化をはじめとする環境保全が全世界的にさけばれており、世の中は循環型社会の構築に向けて進んでいる。ごみ焼却処理設備においても、有害物質を発生させることなく、高効率に効率よくエネルギーを回収することがもとめられている。一方、プラントを運転するための計装・制御技術は古くからあり、自動化、コンピュータ化等、改良・発展がなされてきている。さらにIT技術の進歩にはめざましいものがあり、その技術を計装制御技術に応用することによりいろいろな可能性が生まれてくる。本稿は、計装制御技術の変遷、現状および、将来の展望についてまとめたものである。
(要約)
下水汚泥の保有エネルギーを有効利用し、かつ汚泥処理が可能なシステムの構築を目指してガス化システムの開発をパイロットスケールの試験設備にて進めてきた。2004年度にNEDOとの共同研究として採択され、15 ton/day(水分80%)、発電規模200~260kWのガスエンジン発電設備を備えた実証試験設備を同年度内に建設、2005年度よりガス化実証試験を開始した。2005年度は、各設備の運転特性把握を主として、延べ450hのガス化運転を実施した。その結果、炭素転換率、冷ガス効率はそれぞれ約90%、約60%、ガス発熱量は約4~5MJ/m3N(炉出口)を確認した。またガスエンジンによる発電試験も実施し、ガスエンジン入口熱量に対して32%以上の発電効率を得た。
(要約)
循環流動層炉により得られるバイオマスのガス化ガスを利用するにあたっては、その用途に応じてガス化ガスを精製する必要がある。
ガスエンジン等による発電と、ガス化ガスからのメタノール合成を同時に行う、発電-メタノール合成複合システムを対象として、高温集じん、触媒によるタール改質、湿式ガス吸収、脱硫剤および水素添加触媒からなるガス化ガス精製プロセスを検討した。
ベンチスケール試験においては、木質系バイオマスガス化ガスからメタノール合成を阻害する硫化物などを0.1ppm-dry付近にまで、エチレンをはじめとする不飽和炭化水素類も0.01%-dry未満にまで低減でき、純度93~95%のメタノールを回収することができた。のべ20時間の試験運転中、メタノール合成触媒の顕著な活性低下は認められなかった。
(要約)
タクマはバイオマスの高温ガス化システムとして、循環流動層(CFB : Circulating Fluidized-Bed)による部分燃焼ガス化方式を採用している。得られた生成ガスは、主に発電用燃料として用いられるが、生成ガスの一部または全量をメタノール合成により液体燃料にすることで、バイオマスの利用用途が拡大する。
このたび、分散型プラント向きに、バイオマスの高温ガス化ガスからワンパスでメタノールを効率的に合成する液体燃料化技術を開発した。処理ガス量4m3N/h規模のベンチスケール設備において、バイオマスの高温ガス化ガスからのメタノール合成試験を実施し、木質系バイオマスから純度95wt%のメタノールを合成することができた。
(要約)
2006年3月末に竣工したし尿処理施設「富津市クリーンセンター」の紹介を行う。
本施設では、富津市内から収集されるし尿および浄化槽汚泥を受け入れ、生物処理および凝集沈殿処理の後、処理水を下水道へ放流する。また余剰汚泥および凝集汚泥はスクリュープレス脱水機にて脱水後場外搬出される。
性能試験ではほぼ定格に近い状態で運転を行い、処理水質や脱水汚泥含水率、脱臭性能など全ての項目において所定の性能を満足する結果が得られた。
(要約)
掛川市・菊川市衛生施設組合殿向け「環境資源ギャラリー」は、当社自治体向けガス化溶融プラントとして3件目の施設となり、2005年3月からの試運転を経て2005年8月31日に引き渡しを完了し、現在にいたるまで良好な運転を継続している。
本施設では、排ガス処理薬剤としてNa系反応剤の使用、溶融炉形状の適正化、カーボン吹込装置廻り機器構成の簡略化、膜式排水処理の採用を施しており、経済性の向上につながる運転も確立することができた。
(要約)
セラミックフィルタとナトリウム系薬剤を用いた、ガス温度300℃の温度域でダストと酸性ガスを同時に除去できる新しい排ガス処理システムを開発し、一般廃棄物処理のキルン式熱分解ガス化溶融プラント(70ton/24h×2基)に適用した。本プラントでは、熱分解ドラムの熱源に熱分解ガスを利用しており、この熱分解ガス燃焼排ガスのクリーンアップに本システムを適用した。フィルタエレメントは繊維成形品よりも強度のある焼結品(京セラ㈱製)を採用した。
本プラントは2005年6月より負荷運転を開始し、セラミックフィルタの出口ダスト濃度は1mg/m3N以下で集じん効率は99.8%以上、また圧力損失は、ろ過速度1.5m/min時に約2.2kPaで安定している。さらに、熱分解ドラム加熱管の腐食を抑制するため排ガス処理後のHCl濃度を15ppmに設定し、薬剤噴霧量を制御しているが、本プラントは安定して運転されており、腐食も認められていない。
(要約)
バイオマスエネルギーは、新エネルギーの中でも重要な位置づけがなされ、地球温暖化防止やエネルギーセキュリティー確保という観点から利活用が期待され、行政による施策の充実が図られている。
このような背景の中、茨城県ひたちなか市にある株式会社バイオパワー勝田殿に納入した勝田木質バイオマス発電所(2006年7月運転開始)は、家屋解体木くずなどの中でマテリアルリサイクルに適さない木質バイオマス(150ton/日)を燃料とし、4,900kWの発電を行い、所内消費電力を除いた4,100kWを電力系統を経てPPS(特定規模電気事業者)に売電している。
ここでは、木質バイオマス燃焼流動層ボイラ発電設備の計画概要および運転結果について報告する。