(要約)
廃棄物処理における排ガス処理技術は、燃焼物の内容の多種性、成分の不均一性のため、他の燃焼炉における排ガス処理とは異なった発展をとり、数多くの処理技術・処理機器の組み合せで発展してきた。排出ガスの規制強化に伴う処理技術ならびに処理効率の向上と処理コストの削減を目的として、新規技術の導入と改良・改善が進んでいる。特に近年、ヨーロッパを中心に類似の乾式酸性ガス処理法が提案され、鎬を削っている状態にあるため、本解説では、一般的な排ガス処理技術の説明を基本として、バグフィルタを主とした集じんにおけるろ布の違いと触媒脱硝法について述べるとともに、新規の排ガス処理技術として、反応生成物を再循環させる乾式酸性ガス処理法と新規のアルカリ剤使用システム、ならびに高温集じんの動向を記す。
(要約)
本稿では欧州における重曹を用いた乾式排ガス処理システムの発展についての概観を述べる。ソルベイ社がNEUTRECという登録商標の下で排ガスの浄化とその残渣の処理およびリサイクル化のための方式を開発した。重曹を用いた乾式排ガス処理システムは今や欧州全体に広まっており、そのユーザ数は150以上に達している。この方式は新時代の乾式法と見なされ、乾式の簡易さと、従来もっと複雑な方式に限られていた最高の効率とを組み合わせたものと認められている。
ソルベイはタクマと協力し、日本におけるこのプロセスの展開を図っている。
以下、次の項目順に説明する。
・欧州に於ける立法措置の進展
・この方式の技術面からの考察
・ビジネスとしての方策
・応用分野と発展の歴史
・本方式を採用したプラントの実例
(要約)
2004年3月にカンポリサイクルプラザ株式会社殿に納入したメタン発酵施設(コンポガスプロセス)において追跡調査を行った。
その結果、搬入廃棄物の70~80%程度が発酵槽内で分解できる厨芥類・紙類であり、その他は分解不可能なプラスチック等であった。また、投入ごみ中の有機物の70%以上が分解し、バイオガスは投入ごみトンあたり約205m3N発生した。さらに、本設備では、発電電力の約60%を余剰電力として外部へ供給できることが確認された。
(要約)
2005年3月に尼崎市殿に納入した尼崎市立クリーンセンター第2工場の紹介を行う。
本施設では廃棄物の燃焼の際に発生する熱を積極的に回収し、廃棄物発電を行うと共に、その電力を利用してプラズマ溶融炉で焼却残渣(集じん灰含む)を溶融処理し、再資源化を図っている。
性能試験では、焼却炉、溶融炉とも設計処理量を満足し、発電効率は21.7%が得られた。また、排ガス測定値、溶融スラグの溶出試験では、いずれも基準を満足するものであった。
(要約)
近年、産業界においては、電力需要が増大し、熱需要が減少する傾向にあるが、既にボイラ蒸気タービンによるコージェネレーション設備を保有する工場において既存のボイラ蒸気タービンを活用し、新設ガスタービンと効果的にコンバインドすることにより電気出力比率を向上させる有効な手段となる「ガスタービン排気再燃式リパワリングシステム」の納入事例について紹介する。
(要約)
2003年3月に渡島廃棄物処理広域連合殿に納入した一般廃棄物のガス化溶融施設の運転状況を報告する。本施設で処理されるごみの特徴は水分が計画低質ごみ水分値前後で変動することである。また、ごみ搬入量が施設計画処理量と同程度であるため高負荷、高稼働率での運転が求められる。こうした高水分のごみを安定して処理するため、設備およびごみ質の改善を行うことによって現在では計画年間処理量に達している。2004年度実績として運転日数は2炉合計で577日、年間処理量は計画処理量の99.4%となった。
運転状況としてキルン式ガス化溶融炉の特長である低空気比(λ=1.2)での燃焼・溶融を実現している。また、トラブルにより一時的にごみ供給が停止した場合でもボイラ蒸発量の変動は少なく、安定した熱回収ができている。
(要約)
近年し尿処理場(汚泥再生センター)において、メタン発酵設備や堆肥化設備を中心として資源化が行われてきている。
一方、食料や肥料として輸入され、枯渇資源とされているリンの回収設備はあまり普及していない。
今回、リンの回収技術の実証試験を行い、し尿処理場への適用性について検討を行った結果について報告する。
処理方式はMAP法とリン晶析法の2方式を行い、いずれの方式も安定してリンを回収できることがわかった。
生成MAP粒子は、水切りするだけで含水率30%以下にすることが可能であり、複合肥料の化成肥料として肥料登録要件を満たしており、有効な肥料として利用可能なことがわかった。
リン酸肥料の取扱性についてMAP法が容易であることがわかった。
(要約)
有機性廃棄物などのバイオマスからのエネルギー回収方法として、直接水素をとり出す嫌気性水素発酵について調査、研究を行った。
既往研究から、水素発酵ではClostridium属、Enterobacter属による炭水化物系基質からの代謝が重要であること、これらの水素生成細菌は80℃程度での熱処理、pHやHRTの制御により優占化させることができるとわかった。しかし、実際のバイオマスを使用し、高濃度の基質での水素発酵の試みはなされていなかった。
そこで、ラボ実験にて模擬廃棄物を使用し高濃度基質での水素発酵特性を検討した。その結果、回分条件にて初期固形物(TS)濃度が2~10%の範囲では、TS濃度が高くなると最適pHが酸性側から中性側へシフトする傾向が見られ、水素収率は1.7mol-H2/mol-glucose程度で大きな変化はなかった。さらに投入基質TS10%で行った連続実験では、100日間にわたる連続的な水素ガスの発生を確認し、水素収率は0.21mol-H2/mol-glucoseであった。
(要約)
下水処理設備において攪拌槽に攪拌機を導入する際には、攪拌能力が十分であること、いかに省電力で攪拌できるかが重要な課題となっている。そこで、その要求を満足すべく、低動力堅型攪拌機を開発し、実設備においてその運転性能を確認した。その結果、従来6~10W/m3程度であった攪拌動力密度が3W/m3以下の攪拌動力密度で底部の全領域において流速0.1m/s以上が得られ、槽内を均一に攪拌できることがわかった。また、MLSS濃度が高い場合や低水量時においても安定して槽内を均一に攪拌できることを確認した。それと同時に攪拌機の開発にあたって、攪拌機性能を評価するために攪拌槽内の流れ・混合攪拌状態をシミュレーションする解析モデルを構築し、実設備での実験結果と比較した上、解析手法を確立した。