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タクマ技報 VOL.20NO.1(2012年6月発行)

表紙写真:宮古地区災害廃棄物焼却プラント
タクマ技報 VOL.20NO.1(2012年6月発行)

巻頭論説

最前線の廃棄物行政の現在・過去・未来
-廃食用油、生ごみ、間伐材などからのグリーンエネルギーの利活用に向けて-

解説

膜を用いたCO2分離回収技術とごみ焼却設備排ガスへの適用
藤川 宗治*
(*技術開発部)

(要約)

燃焼排ガスからのCO2分離回収技術は、温室効果ガス排出削減において即効性の高い技術であり、早期の実用化が望まれている。ごみ焼却設備は火力発電所や高炉と比較すると小規模でエネルギー効率が低い設備であるため、ごみ焼却設備の排ガスからCO2を分離回収する場合には、省スペース、省エネルギー、低コストの利点がある膜を用いた分離技術が適している。本稿では、膜によるCO2分離回収技術について紹介するとともに、ごみ焼却設備からの排ガスに適用した場合の試算を行った。その結果、現時点でごみ焼却設備排ガスからのCO2分離回収に最も適した分離法は膜吸収法と結論した。今後、膜吸収法において、膜および吸収液の耐熱性、耐酸性が向上すれば、より省エネルギーなCO2分離回収が可能となる。将来的には、膜・吸収ハイブリッド法および促進輸送膜法における膜の耐熱性、耐酸性および分離性能の安定性が向上すれば、さらなる省スペース、省エネルギー、低コストの設備が期待できる。

報告

多様な廃棄物を適正処理する産業廃棄物焼却プラントの納入事例
引田 浩之*・日向 宏明*
(*エネルギー技術1部)

(要約)

産業廃棄物の発生抑制・再使用・再生利用が着実に進む一方で、産業廃棄物は少量多品種となり、産業廃棄物処理業者に対する排出事業者からの要望も多様となっている。弊社は、2006年に階段式ストーカー炉形式の焼却プラントを産業廃棄物処理業者に納入したが、その後、ストーカー炉では処理が困難な流動性のある廃棄物や高カロリー廃棄物を処理したいという同事業者からの要望に対し、ロータリーキルン&ストーカー炉形式の産業廃棄物焼却プラントを計画・設計し納入した。本プラントの性能確認試験を行い、性能保証項目の保証値を全て満足したことを確認し、2011年11月末に本プラントを引渡した。これら2基の焼却プラントにより、固形状、液状、泥状、高カロリー、低カロリーおよび粗大物等の様々な物性の廃棄物を適正処理可能な焼却プラントが完成した。

付着固定化法による2槽式アナモックスプロセス
高木 啓太*・奥田 正彦*
(*水処理技術部)

(要約)

近年、アナモックスプロセスは、省エネルギーで維持管理費の低減が実現できる新しい生物学的窒素除去技術として期待されている。本研究では、固定床型亜硝酸化/アナモックスプロセスの廃水処理における適用可能性を検証するため、下水処理場の消化汚泥脱水ろ液を処理対象として、実証実験を実施した。本プロセスは、前処理工程、亜硝酸化工程、アナモックス工程で構成される。亜硝酸化工程では、流入SS濃度を抑制することで安定した処理性能が維持され、約210日間にわたり80%以上のNO2--N生成率が得られた。この時、NO3--Nの生成はほとんどなかった。アナモックス槽流入水のNO2--N/NH4+-N比は、亜硝酸化処理性能に応じてバイパス水量を調整することで、容易に適正範囲に維持できた。アナモックス工程では、運転開始直後から明確な窒素除去が確認され、80日後には2.90kg-N/m3/dの最大窒素除去速度を達成した。

尿素添加による排ガス中芳香族塩素化合物および窒素化合物の同時制御技術の開発
大下 和徹*・中村 まどか*・西本 芳洋*・高岡 昌輝*・大上 雅晴**・原田 等**
(*京都大学大学院工学研究科都市環境工学専攻・**技術開発部)

(要約)

都市ごみ焼却施設における発電効率のさらなる向上を目指し、新しい排ガス処理システムとして、セラミックフィルターによる300℃域での集じんと、脱硝触媒とを組み合わせたシステムが検討されている。本報では、このシステムに尿素をダイオキシン類再合成抑制剤およびNOx還元剤として添加し、懸念されるダイオキシン類の再合成抑制とNOx除去を同時に達成できるかを検討した。まず、管状炉を用いた基礎実験において、模擬飛灰に尿素を1%添加し、酸素濃度を5~20%に変化させて300℃での再合成実験を行った。その結果、尿素添加、低空気比によるPCBs再合成抑制効果が確認され、酸素濃度5%において尿素を添加することで、酸素濃度10%の条件と比較し、PCBsは最大87%抑制された。また、ベンチスケールの排ガス処理実験装置を用いた実験において、PCBsは11~23%、ダイオキシン類は22%の生成が抑制され、同時に53%のNOxが脱硝触媒にて除去できた。これによりPCBsおよびダイオキシン類の再合成抑制とNOxの同時除去が可能であることがわかった。

燃焼におけるSO3生成挙動の研究およびごみ焼却施設におけるSO3/SO2転換率の実態調査
大上 雅晴*・巽 圭司*
(*技術開発部)

(要約)

ラボ試験では、二段燃焼によりSO3の生成を抑制できたが、二段燃焼において一次空気比を下げても抑制効果は認められなかった。この結果は、既存のごみ焼却施設における実態調査でも同様の結果であった。また、SOx濃度とSO3/SO2転換率の関係について調査した結果、ラボ試験では正の比例関係が確認されたが、実態調査では相関は認められなかった。さらに実態調査で10年以内に建設されたごみ焼却施設におけるSO3/SO2転換率を調査した結果、転換率は0.1~1.0%程度であった。

潜熱回収型真空式ガス温水ヒーター
三浦 智郎*
(*(株)日本サーモエナー)

(要約)

近年、省エネルギー・環境負荷低減への意識の高まりにより、高効率給湯器が注目されている。このようなニーズに対応するため、弊社では潜熱回収型真空式ガス温水ヒーターを開発した。本開発では、バコティンヒーターの缶体内部構造に新たなフィン水管配列を採用することで単体効率95%(低位発熱量基準)とし、さらに潜熱回収効果を高めたエコノマイザーを追加することで総合効率105%を達成した。また、ターンダウン比5:1の比例燃焼制御バーナーを組込むことで、低負荷運転時のシステム効率を大幅に改善した。

受賞

日本燃焼学会 技術賞
低空気比ジェットフィルム燃焼式ガス焚小型貫流ボイラ「スーパーエクオスEQi-2000/2500」
平成23年度 兵庫県科学賞
廃棄物系バイオマス利用技術の開発

新製品紹介

次世代EB描画装置用磁気シールドチャンバー

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