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タクマ技報 VOL.1 NO.1(1993年12月発行)

表紙写真:タクマ旧社屋
タクマ技報 VOL.1 NO.1(1993年12月発行)

巻頭論説

廃棄物資源化・処理技術の展望

特集

ボイラの変遷と今後の課題(その1)
能谷 博之・土本 信孝・芝川 重博
(機械本部 機械技術第1部)

(要約)

当社は創業以来50年以上にわたって、各種燃料や熱源を用いた産業用ボイラならびに自家用発電設備を数多く納入してきた。これら産業用ボイラに関わる技術が当社における技術の源を形成するものである。

本誌ではこれら産業用ボイラに関わる技術が、時代の経過とともにどのような変遷を辿ったかを、①油・ガス焚きボイラ、②排熱回収ボイラ、③固形燃料焚きボイラおよび④各種自家用発電設備について各々の開発推移と技術進歩の様子について述べるとともに、今後これらの技術がどのような課題を抱えているかを概論する。紙面の関係上、今回は油・ガス焚きボイラおよび排熱回収ボイラについて掲載する。

ごみ焼却ストーカの変遷
岩崎 恢己
(環境設計第一部)

(要約)

当社は1957年頃からごみ焼却プラントの実情調査、わが国のごみ質の調査、研究および焼却炉の研究、開発に着手し、1963年1月、わが国最初の連続式機械炉である、大阪市住吉工場(150t/24h×3基)を完成した。当時のごみ質は、非常に水分が多く発熱量の低いものであり、特にごみの乾燥に重点をおいたストーカが開発され、住吉工場に1号機として納入された。その後の社会情勢の推移、生活水準の向上などに起因するごみ質の変化、ごみの多様化、公害防止規制の強化、ならびに社会のニーズの変化などに対応してごみ焼却ストーカの開発を行い数多くのストーカを開発してきた。その概要について報告する。

ごみ焼却ボイラの変遷
若村 保二郎
(環境設備本部)

(要約)

ごみ焼却ボイラは大阪市森之宮に1号缶を納入して以来海外も含めて121缶の実績がある。ごみ質の変化、発熱量増、発電の要求にともない、ボイラの構造に大きな変化がみられる。初期の強制循環ボイラから3胴式自然循環ボイラ、さらに現在計画中の8,000時間連続運転を保証する。最新の発電ボイラまでエポックメーキングなボイラを捉えて、ボイラ構造の変遷を概説する。なおストーカ式ごみ焼却炉ボイラに限った。

粗大ごみ破砕機と資源回収
宇野 邦彦
(環境設備本部 環境設計第2部)

(要約)

多様化した生活様式のなかで広範な資源が高度の技術により加工・利用された生活に豊かさと利便性をもたらしてきた。しかし、日常生活の中から排出される一般廃棄物・産業廃棄物の処理にあたり、単に焼却や埋立てではなく、資源化・再生の気運が高まりつつある。ここにきて限られた資源の有効な利用や大量の使い捨て消費材に対し生産時点から再利用化の配慮が真剣に取り組まれるようになった。

この時期に廃棄物総合処理技術の一環として早い時期から処理技術に取り組み、今日に至るまでの粗大ごみ破砕機の開発と時代の経過による資源化要素技術の現状を紹介する。

タクマの汚泥処理技術の歴史と今後の課題
吉田 悳男
(水処理技術部)

(要約)

タクマにおける30年の水処理技術の歴史のなかで、汚泥処理技術の第1歩は多段炉の開発にはじまり、汚泥熱処理技術をふくめた廃熱ボイラ付階段式焼却炉設備の市場への参入が大きな流れを築いてきた。単品機器の開発においては、真空脱水機の開発に見られるように成功をみた例もあるが、相対的に短命に製品寿命を終え、それに続く発展が見られなかったことは大いに反省すべき点である。歴史を振り返るなかでこれらの問題点を各々考えてみることがこれからの発展の出発点となるであろう。

産業用水処理について
益田 光信
(水処理設備本部 水システム部)

(要約)

当社、水システム部においては、産業用廃水処理全般も手掛けている。その内容は、用水処理系では取水から始まり洗浄用水やボイラ用水といった用途に応じた水の精製と、廃水処理系では前処理から始まり、その工場立地条件としての放流規定値にまで水処理を行うことを含む。また、廃水系から用水系をつなぐ合理的な水の再利用計画も含まれる。

本稿では主に用水処理系の計画を行うとき必要な水処理単位操作の種類とその要点を紹介する。

熱源用設備機器の変遷と課題(その1)
林 弘志*・服部 進司**
(*設備機械本部 技術部 技術第2課、**設備機械本部 技術部 技術第3課)

(要約)

1968年に発売した熱媒体ボイラ:商品名コーヌス・ヒーター、サーモヒーターの発売台数は累計で約1,600台である。熱媒体油システムの用途開発とともに信頼性向上のためにモデルチェンジを行ってきた。また1975年に開発した真空式温水発生機:商品名バコティン・ヒーターの販売台数は累計で約35,000台に達する。信頼性向上、コンパクト化、マイコンによる制御機能の向上、低NOx化のためにモデルチェンジを行ってきた。

脱硝触媒の現状 -特に固定発生源を中心として-
三嶋 弘次
(田熊総合研究所)

(要約)

現在、提案されている固定発生源排ガスの窒素酸化物(NOx)を低減する各技術の特徴および問題点を検討した。これらの技術の中で選択的接触還元法(SCR法)が最も広く普及している。この脱硝法の中心は還元用触媒で、現在市販されているものには、チタン・バナジウム系のものとゼオライト系のものがある。この2種の触媒について(1)変遷、(2)脱硝原理、(3)特徴と問題点、(4)市場性を検討した。現在は、チタン・バナジウム系触媒が主流であるが、(1)リサイクル・廃棄、(2)高温域・低温域への適用、(3)SO3生成能が低い等の点で、ゼオライト系触媒が優れており、今後の発展が期待される。

清掃工場に関する建築の変遷
西山 孝喜
(建設部 建設第一課)

(要約)

清掃工場の建築に関する変遷をバッチ炉から現代の機械炉に到るまで、プラント機器の推移とともに、その時代を約10年単位に区切ってまとめてみた。その項目については下記の通りになる。

①機器とともに変遷し清掃工場②建築設備としての変遷③建築材料の移り変わり④これからの清掃工場

これらの変遷はその時代の法規に基づいていることは勿論であるが、その時の社会情勢が反映されてきたと思われる。

報告

重質油の低NOx燃焼法の開発
清水 保雄*・土本 信孝**・池田 広司**・永井 伸樹***・平井 哲郎***
(*機械本部、**機械本部 技術1部、***東北大学 工学部)

(要約)

C重油など燃料中窒素含有量の多い燃料を用いる産業用ボイラにおいて、排出NOx濃度を抑制することは大変重要なことである。しかし、従来の低NOx燃焼法では、火炉内の火炎温度を下げることを基本としており、国の排出基準をぎりぎりクリアしているのが現状である。そこで、従来の低NOx燃焼法から発想を転換し、燃料過濃域におけるNOx分解反応を主体にした高温還元燃焼を採り入れた「旋回流二段燃焼法」による重質油に適した新しいNOx抑制燃焼技術を開発した。小型燃焼試験炉による基本的試験と、実機規模による実証試験を行い、NOx生成の基本特性を把握するとともに、排出NOx濃度を90ppm以下に抑制することのできる有効な低NOx燃焼法であることを確認した。

バッチ運転型ごみ焼却プラントにおけるダイオキシン類低減運転
川嶋 真
(環境技術1部1課)

(要約)

バッチ運転型ごみ焼却プラントの立上下げ時の排ガス中のダイオキシン類排出量を調査した。結論としてまとめると以下のようになる。(1)立上げ時は、バーナを使用し、迅速昇温運転を行うことにより、排出量を低減できる。(2)立下げ時は、埋火運転より燃焼完結運転を行う方が排出量を低減できる。しかしバーナを使用した時の効果は顕著ではなかった。(3)AHにおける合成を防ぐためにはAH合成入口ガス温度を下げる必要がある。(4)1日当たりの大気中への総排出量を低減するには、定常時の排出量を抑制することも大きな効果が得られる。

下水汚泥のメタン発酵促進技術について
春木 裕人
(水処理技術部 第2課)

(要約)

下水処理場の省エネルギー・創エネルギー対策として、特に嫌気性消化プロセスの効率化と、メタンガス収量の増大をはかることが必要である。本報告書は、下水汚泥のメタン発酵促進技術として、可溶化処理システムと、二酸化炭素資源化システムについて、それぞれ実証実験結果を中心に、まとめたものである。

余剰汚泥中の基質改善を行う可溶化処理システムは、従来法に比べ30~40%、二酸化炭素還元型メタン発酵過程の促進を行う二酸化炭素資源化システムは、17~27%のメタン生産量の増加が確認できた。今回開発したシステムは、操作も容易であり、下水処理場の省エネルギー化に充分寄与するものと考える。

ガス焚小型熱機器の低NOxバーナ
田中 俊彦・小川 朝久
(設備機械本部 技術部 技術第二課)

(要約)

ガス焚小型熱機器の燃焼により発生するNOxについては、数年前までは大気汚染防止法による小型ボイラに対する特則があったのみで、それ以下の容量のものについては何ら規制はなかった。低NOxの要求のある場合は、特殊対応として低NOxボイラ仕様をその都度開発、設計していた。その低NOx対応も、排ガス再循環であったり、水噴射を採用したり、あるいは燃焼質がより大きい缶体を適用することが主流であった。このため、価格、保守は十分なものとはいえず、普及も進まなかった。

しかし、平成元年(1989年)3月に、東京都業務用小型ボイラ等低NOx燃焼機器認定制度が施行され、バーナのみで低NOx化を実現する開発が急速に進んだ。ここでは、バコティンヒーター(真空式温水機)とタクマックス(小型貫流ボイラ)用に開発した低NOxバーナについて報告する。

尿素水を用いたタクマ・ストイラ式脱硝装置1号機の運転実績
小海 英夫
(研究開発本部 研究開発部)

(要約)

都心部のビル内コージェネ用ディーゼルエンジンに増設したタクマ・ストイラ式脱硝装置1号機の運転実績について報告する。都心部でアンモニアを還元剤として使用するには問題があったので、尿素水を使用した。

これはコージェネ用脱硝装置に尿素水が採用された実績としての国内1号機でもあり、その計画から試運転および、その後の定期点検等の調査結果について述べる。

燃焼排ガス中のNOx除去に関する基礎研究
-NOx除去反応における各種ラジカル類の挙動について-
大西 謙之*・幸田 清一郎**
(*研究開発部、**東京大学工学部 教授)

(要約)

NH3添加によるNO消費反応についてモデル燃焼排ガスを用い反応温度1,200~1,400Kでシミュレーション計算を行った。特にラジカル添加によるNO消費効率の向上の可能性について検討した。その結果、ラジカルを添加しない場合NO消費効率は温度依存性を示したが、ラジカルを添加すると温度依存性を示さなかった。この傾向はシミュレーションモデルに適用する反応機構に多少依存した。ラジカル添加はNH3によるNO消費反応において有効な反応温度を低減する可能性が示された。

学会報告

IFAT'93に見る欧州の廃棄物処理
台湾のごみ事情-1993年廃棄物焚化処理技術問題検討会に出席して-
欧州における有害廃棄物処理視察報告

新製品紹介

福岡市西部清掃工場
TCPシリーズ・ガスタービンコージェネレーション設備
生物脱臭システム(バイオガード)
バコティンヒーター「GFL」シリーズ

特許・実用新案紹介

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