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タクマ技報 VOL.24NO.1(2016年6月発行)

表紙写真:木質バイオマス焚き循環流動層ボイラ
タクマ技報 VOL.24NO.1(2016年6月発行)

巻頭論説

「焼却灰の科学」事始め

報告

下水汚泥焼却炉に関する東京都との共同研究実施報告
渥美 幸也*・佐々木 徹*・和田 浩幹*・株丹 直樹*
(*水処理技術部)

(要約)

東京都下水道局は,下水汚泥焼却における温室効果ガス削減および再生可能エネルギー利用として焼却炉に基準を設け,「高温省エネ型焼却炉」および「エネルギー自立型焼却炉」をそれぞれ設定し,導入拡大を図っている。当社は,東京都下水道局と2件の共同研究を2014年度に実施し,それぞれの基準を達成したことで,上述の焼却炉に適合するものとして承認された。

下水道バイオマスからの電力創造システムに関する技術実証研究 その3
-革新型階段炉の適用範囲拡大に向けた実証運転報告-
村岸 弘基*・水野 孝昭*・島村 太*・宮川 透*・株丹 直樹*
(*水処理技術部)

(要約)

平成25,26年度に国土交通省のB-DASHプロジェクトとして,「下水道バイオマスからの電力創造システムに関する技術実証研究」を実施した。平成27年度は,本実証研究にて用いた革新型階段炉の適用範囲拡大を目的として,乾燥汚泥や,し渣との混焼試験をおこなった。その結果,乾燥汚泥との混焼でも安定的に焼却でき,含水率上昇時など補助燃料が必要な場合において,乾燥汚泥との混焼により補助燃料使用量を低減できることが確認された。し渣との混焼では炉出口ガス温度が低かったことからN2O排出係数は流動炉(850℃高温焼却)と同程度となったが,環境に対する負荷の面からは,問題なく焼却できた。また他の処理場より脱水汚泥を受け入れた場合でも乾燥させて混焼することで,従来技術と比較して大幅な運転コストの削減ができることを確認した。

階段炉による下水汚泥焼却発電システムの評価
萩田 諭*1・水野 孝昭*1・株丹 直樹*1・宍田 健一*1・大下 和徹*2・高岡 昌輝*2
(*1水処理技術部、*2京都大学大学院地球環境学堂 地球益学廊)

(要約)

階段炉による下水汚泥焼却発電システムについて,エネルギー利用可能量,温室効果ガス排出量,維持管理費を評価項目として他の技術との比較を京都大学との共同研究により行った。比較対象は,従来の焼却方式として気泡式流動炉,他の下水汚泥エネルギー化技術として燃料化方式とし,それぞれの方式に消化設備の有無,脱水機の型式といった条件を組み合わせた。その結果,階段炉による下水汚泥焼却発電システムは,維持管理費の面において最も優れ,エネルギー利用可能量,温室効果ガス排出量においても優れた性能を持つことが認められた。また,階段炉は施設の稼働に必要なエネルギー量が少なく,エネルギー自立性に優れた方式であることを確認した。

尿素分解装置を用いた無触媒脱硝試験(その2)
倉田 昌明*・藤平 弘樹*・前田 典生*
(*技術開発部)

(要約)

尿素を触媒で分解して得たアンモニアを,脱硝用還元剤として炉内に噴霧するシステムを開発した。昨年度は,実機スケールのパイロット試験装置を製作し,基礎データを採取して尿素からアンモニアへの転換率が100%となる条件を確立した後,実施設(200t/日炉)のストーカ式焼却炉内に試験装置から発生したアンモニアガスを噴霧して脱硝性能試験を実施した。その結果,炉内尿素水噴霧に比べ尿素水使用量を50%程度削減できたことは既報のとおりである。今回さらに,別の大規模施設(270t/日炉)において尿素分解装置の長期間における制御安定性および連続運転性を確認した結果,長期間煙突NOx濃度を安定して制御できることを確認した。また,必要NOx除去率30%の条件で,同じ燃焼室ガス温度(850〜900℃)で比較すると,従来の尿素水噴霧に比べ尿素水使用量を50%以上削減できることを再確認した。

電気二重層排水処理装置
藤川 宗治*
(*技術開発部)

(要約)

ごみ焼却施設において発電量の向上および排水クローズドを両立させるため,電気二重層排水処理装置を開発した。電気二重層排水処理装置の基礎性能確認試験および,処理量2.4m3/日規模にスケールアップした装置の性能試験を行い良好な結果を得た。スケールアップした装置を自動化し,ごみ焼却施設においてプラント排水の処理試験を実施した。連続的に機器冷却水補給水の基準を満たす水質まで処理することができた。

木質バイオマス焚き発電ボイラの運転報告
大森 耕作*・池田 広司*
(*エネルギー技術2部)

(要約)

2012年7月より導入された再生可能エネルギーの固定価格買取制度により,再生可能エネルギーの導入が積極的に推進されている。岡山県真庭市の集成材メーカーである銘建工業株式会社殿を中心として設立された真庭バイオマス発電株式会社殿は,この制度を活用して木質バイオマス発電事業を行うことを決定され,その発電ボイラプラントを当社が納めることとなった。本稿では2015年4月に納入した木質バイオマス焚き発電ボイラの設備概要および運転結果について報告する。本発電ボイラプラントの性能試験において,木質バイオマスの良好な燃焼を実現し,設計通りの性能を達成することを確認した。

木質バイオマス焚き循環流動層ボイラの運転報告
坂田 祐樹*・斉賀 亮宏*・喜多 照行*
(*エネルギー技術1部)

(要約)

当社は,1950年代から木質チップやバガス(サトウキビの搾りかす)など様々な燃料に対応したボイラを国内外合わせて580缶以上納入しており,様々な燃料の発熱量,成分組成,形状などの条件を考慮したうえで,最も適した燃焼方式を提案してきた。その豊富な実績に裏付けられた技術・ノウハウが評価され,2012年7月に「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」が開始されて以降,25件以上のバイオマス発電プラントを受注している。今回,中国木材(株)殿におけるプロセス蒸気(乾燥・加工用)供給用ボイラとして,木質バイオマスを燃料とする循環流動層ボイラを2015年7月に納入した。本稿は,本ボイラプラントの設備概要と木質バイオマスおよびそれ以外の燃料を使用した時の運転結果について報告する。

運転・維持管理総合支援システム(POCSYS®
橋本 隆史*1・田中 淳一*2
(*1O&M推進部、*2電気計装部)

(要約)

近年,DBOやO&M事業による都市ごみ処理施設の運営事業の件数が増加しており,これら施設の長期安定的な運営が求められている。そのような背景から,運転・維持管理業務の効率化と,新たな付加価値の創出を目的として「運転・維持管理総合支援システム:POCSYS®」を新たに構築した。このシステムは,運転データをはじめとする種々のデータを独自の統合サーバーに蓄積・一元管理するとともに,運転・維持管理で使用する各種運転支援機能,ならびに蓄積データを解析する機能を有している。本稿では,このシステムの構成と各機能の概要について報告する。

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