当社グループは、本年4月にスタートさせた第11次中期経営計画(2015~2017年度)において、EPC事業(※1)から派生し、グループ収益の土台となる、メンテナンス・運営等の「ベース収益事業の拡大」を基本方針の一つとして掲げており、その具体的な施策の一つとして、国内の一般廃棄物処理プラント事業における「運営基盤の整備・運営力の強化」に取り組んでおります。
その「運営力強化」に向けた取り組みの一環として、このたび、これまで独立して管理・評価していた各種データを総合的に活用する「運転・維持管理総合支援システム」構築の取り組みを開始いたしました。
※1 EPC:プラントの設計(Engineering)、調達(Procurement)、建設(Construction)業務
都市ごみ処理施設の運営管理業務は、これまで施設を設置した市町村が自ら実施してきました。しかし近年、運営コストの削減と安定した質の高い公共サービスを期待して、その業務を民間事業者に長期(15~20年程度)包括的に一括で委託する、DBO方式(※2)やO&M事業(※3)といった事業形態が増加しつつあります。
当社グループでは、これまでもごみ処理プラントをはじめ、汎用ボイラ・汚泥焼却炉の遠隔監視サービスを行っており、ごみ焼却プラントに関しては、2004年に稼働させた「総合運転支援システム」(以下「TIPLOS」)により、プラントの監視サービスを10年以上にわたって行ってまいりましたが、より質の高いサービスを提供すべく、ICT(※4)を活用し、更なる機能の充実・データの有効活用を図る新たなシステムの構築に着手しました。
※2 DBO:Design Build Operate
※3 O&M:Operation & Maintenance
※4 ICT:Information and Communication Technology
今回の「運転・維持管理総合支援システム」では、従来のTIPLOSで取り込まれていた、制御用コンピュータ(DCS(※5))の運転データに加え、点検・検査データや施設運営データ等も取り込み、それらデータの解析機能を強化することにで、よりコストパフォーマンスの高い運営サービスの提供を目指します。
※5 DCS:Distributed Control System(分散制御システム)
機能の概要
① 機器性能の低下や障害の予測による早期対策と維持管理の最適化
② 季節や曜日ごとに変動する、ごみ質に応じた、発電量や用役使用量の最適化
③ 独自の多変量解析による安定運転の支援
④ 保全業務のPDCAサイクルを管理する、維持管理の支援
新システムは、当社尼崎本社ビル2F(現在の遠隔監視センター)に設置し、現中計期間の3ヵ年で10か所程度の施設への導入を目指します。
その後も順次、導入施設数を拡大し、プラント運営ビジネスの質と量を高めていくことを目指してまいります。