当社は広島大学と共同で「木質バイオマス発電燃焼灰のカリウム成分濃縮プロセスの開発と肥料への再資源化」により公益社団法人化学工学会「粒子・流体プロセス部会技術賞」を受賞しました。
木質バイオマス発電の普及に伴い、発生する燃焼灰の処分と循環利用技術の開発が課題となっています。このたび当社は、木質バイオマス発電の燃焼灰を肥料として循環利用することを目的として、燃焼灰から有効成分を濃縮分離する分級技術を利用したプロセスを開発しました。
濃縮分離プロセスの実証試験の概略フローを示します。既存の木質バイオマス発電プラントから排ガスを一部分岐し実証試験を実施しました。高性能サイクロンにより燃焼灰から有効成分を分級(分離)し、バグフィルターで捕集しました。サイクロンにより分離する粒子径を制御することで、有効成分を濃縮分離することができました。
木質バイオマス燃焼灰に含まれる有効成分として肥料成分でもあるカリウムに着目し濃縮分離を行いました。サイクロンで分級する燃焼灰の粒径を制御し、粒子径とそれに含まれるカリウム濃度の関係より、分離される燃焼灰の粒子径が小さいほどカリウム濃度が高いことがわかりました。
本プロセスにより濃縮分離された高濃度カリウム含有燃焼灰から調製したカリウム肥料の肥効試験を実施し、有効性を確認しました。
本プロセスを導入することにより、産業廃棄物として処理していた燃焼灰を有価物に変える可能性が高まり、事業の収益性向上が期待できます。
本実証試験を実施するに当たり、多大なるご協力をいただきました中国木材株式会社殿に深く御礼申し上げます。
粒子・流体プロセスに関連した技術に関して特にすぐれた業績のあった者を表彰することによりその成果を讃えるとともに部会会員の意識の高揚をはかることを目的として設けられたものです。